研究課題/領域番号 |
20K20909
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大野 哲靖 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60203890)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 単純トーラス型プラズマ / 螺旋状プラズマ / 高密度水素・窒素混合プラズマ / アンモニア合成 / 水素原子 / 窒素原子 / 2光子吸収レーザー誘起蛍光計測 / 単純トーラス型プラズマ装 / NHラジカル / 質量分析器 / 単純トーラス型プラズマ装置 / プラズマ / 再結合 / アンモニア / 螺旋状磁場 |
研究開始時の研究の概要 |
アンモニアは,ハーバー・ボッシュ法によって,水素と窒素分子を原料とし,高温(約1000 °C)かつ高圧(約 20 MPa)の環境下において鉄触媒上で合成される。この手法では、大量の電力を要するうえに(世界の電力消費の1%とも言われる),アンモニア合成の生成効率が窒素の解離反応によって制限されるという課題を抱えている。本研究では,螺旋状磁場を用いた多重電子温度プラズマ生成という新しいプラズマ反応場を導入し,プラズマの高電子温度領域から低電子温度領域全てを使用して高効率にアンモニア合成を進める反応場を構築し、アンモニア合成の高スループット・省電力化に貢献する。
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研究実績の概要 |
水素ならびに窒素基底原子密度/温度は,アンモニア形成に大きな影響を与える。しかし基底原子はよく用いられる受動分光法(励起原子からの発光を計測)と静電プローブ法(プラズマ中のイオン/電子電流を計測)から直接計測できないため、実験的に取得することは困難である。そこで本研究では、2光子吸収レーザー誘起蛍光法(TALIF)に着目し,その計測系を螺旋状プラズマ生成装置NAGDIS-Tに実装し,水素原子密度,温度の絶対計測を行った。 重水素プラズマ放電において,重水素基底原子からのTALIF信号計測に成功した。放電電力500 Wから2000 Wの増加に伴い,基底原子密度は1.5×10^19 /m^3から2.9×10^19/m^3まで増加することが確認された。この研究では,トロイダル磁場の強度を固定し,垂直磁場の強度を変化させることで得られた結果を基に,重水素基底原子密度と温度の1周目接触プラズマにおける相対位置依存性を解析した。また,静電プローブ計測と受動分光計測を行い,その結果を解析した。 結果として,1周目接触プラズマを基準に,上下方向の重水素基底原子密度と温度の分布が明らかになった。密度については,1周目接触プラズマ中心で約5.0×10^18 /m^3で最小となり,プラズマ上方では約7.0×10^18/m^3まで増加し,プラズマ下方では約3.0×10^19 /m^3まで増加した。これにより,1周目接触プラズマに対して上下方向に非対称な分布であることが明らかになった。一方,温度については,1周目接触プラズマ中心で0.27 eVで最小となり,上下方向に対称な分布を示した。 静電プローブの計測結果からは,垂直磁場の変化によって1周目接触プラズマの状態が変化していないことが示された。しかし,2周目以降の非接触プラズマが基底原子密度の増加と非対称性の分布に影響を与えていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単純トーラス型プラズマ装置における長い磁力線長有する螺旋状水素・窒素混合プラズマにおいてアンモニア生成を示唆するNHラジカルからの発光と質量数18のマススペクトルが観測され,アンモニア形成の最適条件が明らかになった。 またアンモニア生成を規定する水後原子密度・温度の計測を2光子吸収レーザー誘起蛍光法(TALIF)より計測した。研究は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
アンモニア合成の効率を評価するために,さらにガス圧,磁場強度,ガス流量比を変化させて,継続して実験を行う。また,これまで得られて実験成果をまとめて,査読付論文として公表する。
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