研究課題/領域番号 |
20K20921
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10222035)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 真空の自己エネルギー / ダークエネルギー / 光半導体 / CdTe / ゼロ点エネルギー / 真空のゼロ点エネルギー / 自己エネルギー / カドミウムテルル / カシミール効果 |
研究開始時の研究の概要 |
真空のゼロ点エネルギーは、場の量子論の基礎に関わる重要な量であり、また分子間力の起源や宇宙のダークエネルギーの正体とも深い関わりを持つ。真空のゼロ点エネルギーは、場の境界条件に依存する成分と依存しない成分(自己エネルギー)に大別される。前者は「カシミール効果」として既に実証されているが、後者はこれまで実験的検証の試みがなく、カシミール効果の研究においても議論の対象外であった。本研究は、自己エネルギーが電磁場のカットオフ周波数に対して特徴的な依存性を示すことを利用し、初の実験的検出を試みる。検出に成功すれば、それが単なる数学的存在ではなく、観測可能な物理的実在であることが初めて実証される。
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研究成果の概要 |
量子真空の自己エネルギーは系の幾何条件に依らず一定の斥力を生み出すため、宇宙のダークエネルギーとの関連が示唆されている。自己エネルギーは空間の境界面が持つ遮断周波数に依存するため、境界面に作用する圧力の遮断周波数依存性を検知することで、その実在が確認できると期待される。実際には圧力は極めて小さいため、遮断周波数の操作と圧力による変位の測定を非接触で行うことが鍵となる。そこで境界面の材料として光半導体(CdTe)を用い、さまざまな強度の制御光を照射することで電気伝導度、従って遮断周波数を制御する手法を開発し有効性を確認した。また境界面の変位を静電容量の変化として非接触で測定する方法を開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
真空の自己エネルギーは、宇宙背景放射の観測から推測されているダークエネルギーとの関連が示唆されており、その性質を調査することは基礎物理学における重要課題であるが、これまでは繰り込みの処理によって省かれ、より深い考察があまり為されていなかった。自己エネルギーは系の境界面の遮断周波数に依存すると考えられ、その性質を利用して実在が確かめられれば量子場の理論や宇宙論に対する大きなインパクトとなる。本研究では、自己エネルギーの検出に置いて鍵となる、非接触での遮断周波数の操作および圧力変化の検知方法について原理的妥当性が確認され、自己エネルギーの検出に向けての重要な足掛かりが得られた。
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