研究課題/領域番号 |
20K20926
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10534810)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 素粒子実験 / 放射線検出器 / 大強度加速器 / 放射線損傷 / 電気光学効果 / ビームモニタ / 放射線損傷耐性 / ポッケルス効果 |
研究開始時の研究の概要 |
比較的低いエネルギーでより多くの素粒子現象を実験する手法(大強度加速器実験)が、より高いエネルギーでの素粒子実験と相補的に研究成果をあげている。更に優れた統計精度を実現するためにはビーム強度を上げることが不可欠であり、ビーム検出器の放射線損傷が喫緊の課題となっている。 そこで、既に放射線耐性の限界に達しつつある従来の放射線検出器とは全く異なる新しいアプローチの放射線検出器を電気光学効果を応用して実現することを目指す。電気光学効果は光産業で盛んに応用されている技術であり、これを放射線検出に応用する新しい挑戦は、本研究で目指すビームモニタ実現のみならず、新しい電場検出技術への道も拓く可能性がある。
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研究実績の概要 |
本研究では、大強度加速器におけるビーム検出器の放射線損傷の問題を、従来とは全く異なる動作原理に基づく検出器の開発で克服することを目指す。そこで、大強度ビームによる空間電荷効果が引き起こす電場擾乱を検出可能である事を示し、微小な電場擾乱の検出は誘電体の持つ非線形電気光学効果を応用する事で実現する。誘電体に電場を印加すると屈折率が変化する事が知られており、光学産業では屈折率や光透過を制御する技術として応用されている。これを逆転の発想で応用、ビーム起因の電場擾乱により引起こされる屈折率変化を検知、これによりビーム検出を実現する。この方式なら、検出器の媒体に放射線損傷が起きても、ビームにより引き起こされる電場擾乱の大きさに影響はないため、検出器としての動作そのものに大きな影響はない。本研究により、J-PARCで計画中のミュー粒子電子転換過程探索実験や、将来の大強度ニュートリノ実験でも安定に精度良く動作可能な大強度ビーム検出器が実現可能になる。本研究で全く新しい検出原理を実証することで放射線損傷問題を克服、より大強度なビームを用いた実験を可能にし、より高いエルギー領域に迫る新しいアプローチを切り拓く。そこで令和3年度に、誘電体の屈折率の変化を検出するセンサーの開発、及び本研究の仕上げとして実施を予定しているビーム照射試験の準備を進めた。センサー開発は、誘電体と光センサーの組み合わせにより各種製作した。R3年度に予定していたJ-PARC・MRシンクロトロンにおける大強度ビーム照射試験は、当該加速器における電源更新のため実施出来なかったため、照射試験をR4年度に実施すべく本研究計画を1年繰り越した。しかしながら、R4年度の当該加速器の運転は当初計画よりも短縮され、R4年度にも照射試験は実施出来なかった。そのため、センサーの読出し回路の改良作業のみを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、大強度加速器におけるビーム検出器の放射線損傷の問題を、従来とは全く異なる動作原理に基づく検出器の開発で克服することを目指す。そこで、大強度ビームによる空間電荷効果が引き起こす電場擾乱を検出可能である事を示し、微小な電場擾乱の検出は誘電体の持つ非線形電気光学効果を応用する事で実現する。誘電体に電場を印加すると屈折率が変化する事が知られており、光学産業では屈折率や光透過を制御する技術として応用されている。これを逆転の発想で応用、ビーム起因の電場擾乱により引起こされる屈折率変化を検知、これによりビーム検出を実現する。この方式なら、検出器の媒体に放射線損傷が起きても、ビームにより引き起こされる電場擾乱の大きさに影響はないため、検出器としての動作そのものに大きな影響はない。本研究により、J-PARCで計画中のミュー粒子電子転換過程探索実験や、将来の大強度ニュートリノ実験でも安定に精度良く動作可能な大強度ビーム検出器が実現可能になる。本研究で全く新しい検出原理を実証することで放射線損傷問題を克服、より大強度なビームを用いた実験を可能にし、より高いエルギー領域に迫る新しいアプローチを切り拓く。そこで令和3年度に、誘電体の屈折率の変化を検出するセンサーの開発、及び本研究の仕上げとして実施を予定しているビーム照射試験の準備を進めた。センサー開発は、誘電体と光センサーの組み合わせにより各種製作した。R3年度に予定していたJ-PARC・MRシンクロトロンにおける大強度ビーム照射試験は、当該加速器における電源更新のため実施出来なかったため、照射試験をR4年度に実施すべく本研究計画を1年繰り越した。しかしながら、R4年度の当該加速器の運転は当初計画よりも短縮され、R4年度にも照射試験は実施出来なかった。そのため、センサーの読出し回路の改良作業のみを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
J-PARC・MRシンクロトロンの運転が再開され次第、シンクロトロン終端部(アボートライン)に本研究で開発したビーム検出器をインストールし、これへ大強度ビーム照射を実施、ビーム検出試験を行う。それまでの間は、センサー信号読出し回路の改良を継続する。
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