研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究の目的は、独立成分分析の堆積学への適用法の新規開発である。独立成分分析は1994年に開発された統計解析法で極めて新しい解析法である。そのため、この解析法が地球科学において、どれほどのポテンシャルがあるのか、いまだ十分に理解されているとは言い難い。これまでに、独立成分分析を地球科学に応用した例は決して少なくはないが、その全てが構成成分を推定することにとどまっており、構成成分の『化学組成』を推定する研究には至っていない。本研究では、独立成分分析を堆積岩に適用し、構成鉱物の『生命必須元素や酸化還元に関連する微量元素組成』を推定する方法を開発し、堆積岩の化学組成を用いた古環境解読手法を確立する。
本研究では、堆積岩の化学組成から古海洋組成を推定する上で必須となる堆積岩中の各成分の分離を統計学的に行う手法(独立成分分析)の開発を行なった。近年、独立成分分析は地球科学において広く利用されているが、基本的には成分の特定のみで、各成分の化学組成を推定するには至っていない。本研究では、平均の取り方や組み合わせる堆積岩の種類を工夫することによって、各成分の化学組成を推定することを可能にした。さらに、本手法を初期地球の縞状鉄鉱層や炭酸塩岩に適用し、それらに含まれる鉄酸化物、炭酸塩鉱物、珪質粒子および砕屑物の分離を行い、それらの微量元素組成を推定することを可能にし、当時の海洋組成を推定した。
地球は大きな海洋と多種多様な生命が存在する非常に活発な惑星である。その地球を理解するためには、進化を理解することが重要であるが、初期地球の情報は極めて乏しく、当時の海洋組成を推定することも困難とされる。一般に古海洋組成は堆積岩の化学組成から推定される。しかし、そのためには、様々な起源物質の混合物である堆積岩中の各成分を分離する必要があるが、実際には不可能である。そこで、本研究では統計的な手法(独立成分分析)を用いて、各成分を分離する手法の開発を行なった。これにより、様々な起源物質を含む堆積岩でも、海洋から晶出した成分の化学組成を決めることが可能となり、古海洋組成のより定量的な推定を可能とした。
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