研究課題/領域番号 |
20K20938
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮 剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30361786)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 独立成分分析 / 太古代堆積岩 / 原生代堆積岩 / 炭酸塩岩 / 縞状鉄鉱層 / 黒色頁岩 / ストロマトライト / 大酸化イベント / 海洋栄養塩濃度 / 古海洋組成復元 / 堆積岩 / 地球史 / 生命進化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、独立成分分析の堆積学への適用法の新規開発である。独立成分分析は1994年に開発された統計解析法で極めて新しい解析法である。そのため、この解析法が地球科学において、どれほどのポテンシャルがあるのか、いまだ十分に理解されているとは言い難い。これまでに、独立成分分析を地球科学に応用した例は決して少なくはないが、その全てが構成成分を推定することにとどまっており、構成成分の『化学組成』を推定する研究には至っていない。本研究では、独立成分分析を堆積岩に適用し、構成鉱物の『生命必須元素や酸化還元に関連する微量元素組成』を推定する方法を開発し、堆積岩の化学組成を用いた古環境解読手法を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、過去の表層環境を解読する有効的な手法と考えられる独立成分分析を太古代の堆積岩に応用する手法の開発とその実用化である。特に本研究では、独立成分分析を各時代の堆積岩に応用し、堆積岩の化学組成の素となった端成分の化学組成を推定し、その堆積場や堆積環境の情報を読み解く方法を新規に開発することと、申請者がこれまでに採取した堆積岩の化学分析を行い、本研究で開発した独立成分分析をそれに適用することを行う。具体的には、本研究の目的を達成するため、本研究では四つのことを行う。一つ目は独立成分分析を行うためのプログラムの作成である。二つ目は現世の豊富な情報を持つ堆積物の化学組成をランダムに混合して模擬堆積岩を作り、その独立成分プログラムを用いてそれぞれの堆積岩の化学組成を再現できる最適条件を探索する。三つ目は独立成分分析の計算に用いるデータを拡充するため、小宮研究室で保有する縞状鉄鉱層や炭酸塩岩の化学組成を系統的に分析する。四つ目はそれらの分析データを用いて独立成分分析を行い、それぞれの時代や堆積場での鉄水酸化物と炭酸塩鉱物の微量元素組成を推定し、地球史を通じた海水中の生命必須微量元素組成の経年変化を得る。 2022年度は太古代から顕生代にかけてのストロマトライト中の炭酸塩鉱物のリン濃度の局所分析を行った。リンは生命必須元素あるとともに生物生産を律速する栄養塩でもある。これまでの研究では太古代から原生代の海洋はリン濃度に著しく枯渇していたと言われてきたが、その推定手法に問題あるとも言われてきた。そこで、私たちが新規に開発した炭酸塩鉱物中のリン濃度の局所分析から、海洋中のリン濃度の経年変化を推定した。その結果、この時代においても海洋中のリン濃度は現在程度に高いことがわかった。また、私が新たにまとめた黒色頁岩中のリン濃度のコンパイルデータもこれを支持する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画では、以下の四つの事柄を行う予定である。一つ目は独立成分分析のプログラムの作成である。二つ目は模擬堆積岩に独立成分プログラムを適用し、それぞれの端成分を再現できる最適条件を探索することである。三つ目は研究室で保有する縞状鉄鉱層や炭酸塩岩の化学組成を系統的に分析することである。四つ目はそれらに独立成分分析を適用し、地球史を通じた海水中の生命必須微量元素組成の経年変化を得ることである。 これまでに、一つ目の独立成分分析プログラムの作成と二つ目の模擬堆積岩に独立成分プログラムを適用し、それぞれの端成分を再現する最適条件の探索を行なった。そして、2021年度は保有する縞状鉄鉱層や炭酸塩岩の化学分析を行なった。2022年度は、炭酸塩鉱物の局所分析の局所分析を行い、炭酸塩鉱物中に含まれるリン濃度の測定を行なった。これまでに縞状鉄鉱層や炭酸塩岩の全岩分析を行なってきたが、独立成分分析の結果を検証するためにも鉱物自体の化学組成を得る必要があると考え、太古代から顕生代のストロマトライト中の炭酸塩鉱物のリン濃度を局所分析した。当初計画ではここまで深く検討する予定はなかったが、良好な成果が得られつつあるので、研究を深化させるために当初計画以上のことを行った。また、太古代から現在までの約3万個の黒色頁岩の化学分析データ(約40万データ)のコンパイルも行なった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに分析したデータとコンパイルデータに、私が作成したプログラムを適用し、各時代の堆積岩中に含まれる炭酸塩鉱物成分、鉄酸化物成分、砕屑性成分、シリカ成分および変質などの影響の成分を分別し、それぞれの成分の化学組成を推定し、地球史を通じた海水中の生命必須微量元素組成の経年変化を推定する。加えて、原生代中期の堆積岩データが不足していることも見えてきたので、この時代の地質体の地質調査を行い、試料を採取するとともに、既存データのコンパイルも系統的に進める。
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