研究課題/領域番号 |
20K20939
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中島 淳一 東京工業大学, 理学院, 教授 (30361067)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | スペクトル比 / 地震波スペクトル / 地震波 / 減衰 |
研究開始時の研究の概要 |
固体地球の塑性変形や自由振動,潮汐応答などを定式化するために不可欠なパラメータに非弾性減衰(Q値)がある。Q値の周波数依存は多くの研究で調べられているが,入力振幅の依存性を調べた研究はない。本研究では地震波形解析により減衰の振幅依存性の有無を検証する。解析では,2011年東北地方太平洋沖地震後に発生したメカニズム解のよく似た多数の余震を用いることで,震源位置の近い地震を選択しつつ,地震の規模の差も担保する工夫する。
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研究実績の概要 |
地球内部のQ値は地球の自由振動や地震波形の解析などから推定されている。実験や理論的考察から鉱物の結晶粒界すべりや格子欠陥の転位によるエネルギー散逸など複数のメカニズムにより減衰が生じることが指摘されているが、現状では減衰の振幅依存はないと仮定して解析が行われている。前年度までの解析により、2003年に宮城県沖で発生したスラブ内地震(M7.1)の余震のスペクトル比解析から減衰の振幅依存が示唆される結果が得られていたが、そこでは地震の規模(マグニチュード)をパラメータとして解析していた。しかしながら、観測される減衰の振幅依存を高精度で抽出するためには、地震の規模ではなく、観測振幅の大きさそのもので評価する必要がある。そこで今年度は観測振幅を用いた解析を再度行った。その結果、昨年度よりもより明瞭な減衰の振幅依存が観測された。結果の妥当性を検証するために、解析で仮定したいくつかのパラメータに対する不確定さの評価も行った。さらに、スペクトル解析を行う際の時間窓の設定や震源間距離などの影響も評価した。観測された減衰の振幅依存を定式化したところ、振幅の0.1-0.2乗で変化する減衰を考えるとデータをうまく説明できることも明らかになった。震源で励起された地震波は、観測点に到着するまでに幾何減衰により波の振幅が減少するが、今回示した振幅依存の大きさを考慮すると、波線に沿って減衰が60% 程度変化することが想定される。しかしながら,なぜ振幅の0.1-0.2乗に比例するかという理論的な裏付けは十分ではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地震波減衰の振幅依存を示す観測成果が得られた。しかしながら、その定量的解釈はまだ十分でなく、次年度以降に理論モデルの構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにスラブ内地震について,減衰の振幅依存が確認できた。一方で地震波減衰の振幅依存が地殻とマントルの両方に存在するのか、それともいずれかだけなのかを分離するために、地殻内地震を用いた解析も不可欠である。今後は2008年岩手・宮城内陸地震のデータを再精査し、解析を行う予定である。
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