研究課題/領域番号 |
20K20940
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
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研究分担者 |
野澤 悟徳 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60212130)
津田 卓雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90444421)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | オーロラ / 国際宇宙ステーション / 画像処理 / ジオロケーション |
研究開始時の研究の概要 |
国際宇宙ステーション(ISS)から宇宙飛行士が市販のデジタルカメラを用いて撮影した地球の画像が,NASAのウェブサイトにおいて公開されている.これらのISSデジカメ画像は,言わば「見えたまま」の画像であり,カメラの向きや画角,歪み,撮像時刻などの「カメラパラメータ」の情報が存在しない.本研究は「ISSデジカメ画像のジオロケーションを決定する手法」 を確立し,科学データとして再生する.さらに,「デジカメ画像のRGB色空間情報からオーロラ電子のエネルギーを推定する手法」 を確立し,オーロラ電子エネルギーの広域マップを導出する.
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研究実績の概要 |
国際宇宙ステーション(ISS)から市販のデジタルカメラを用いて撮影された地球の画像が,NASAのウェブサイトにおいて公開されている.これらの ISS デジタルカメラ画像は,言わば「見えたまま」の画像であり,カメラの向きや画角,歪み,撮像時刻などの「カメラパラメータ 」の情報が存在しない.本研究は「ISS デジタルカメラ画像のジオロケーションを決定する手法」を確立し,科学データとして再生することを目的とする.最終的には,ノルウェーのトロムソで実施するデジタルカメラを用いた地上較正実験と光学発光モデルと組み合わせることで「画像の RGB 色空間情報からオーロラ電子のエネルギーを推定する手法」を確立し,オーロラ電子エネルギーの広域マップを導出することを目指す.本年度は,ISS に搭載されているものと同型のデジタルカメラによる地上実験を行うための観測システムの開発を行い,ノルウェートロムソにおいて欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT)との同時観測を実施した.この観測によって得られたカラーデジタルカメラ画像と欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT)による電子密度観測実験を組み合わせることで,オーロラの色(RGB チャンネルの比率)からオーロラ降下電子のエネルギーを定量的に導出する手法を確立する予定である.また,上記の観測データを解析する作業と並行して,機械学習を用いたオーロラの自動検出システムの開発に取り組み,高い精度でオーロラの発生を検知することができることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,ISS からデジタルカメラを用いて撮像されたディスクリートオーロラ,ディフューズオーロラを含む画像について,街明かりとの比較からカメラパラメータを決定し,地理座標上にマップする作業を行った.さらに,その結果を地上からのオーロラ観測と比較することで,マッピングの精度がオーロラのサイエンスを行うために十分なものであることを確認した.また,デジタルカメラの RGB チャンネルの発光強度比を用いて,オーロラ降下電子エネルギーを定性的に求めることにも取り組んだ.特に,G チャンネルと B チャンネルの比を用いることで,脈動オーロラと呼ばれる発光強度が時間的に変動するオーロラについてエネルギー推定を行い,オーロラの増光時に,より高いエネルギーの電子が降下していることを示した.これらの作業をもって,当初予定していた ISS デジタルカメラ画像の初期解析をさせることができた.これらの成果については,Journal of Geophysical Research 誌に 2 編の論文として発表されている.これらの作業と並行して,ノルウェートロムソにおいて実施する予定の ISS に搭載されているものと同型のデジタルカメラによる地上実験を行うための観測システムの開発を行った.その過程では,機械学習を用いたオーロラの自動判定システムを構築し,オーロラが発生したときにのみ高時間分解能で観測を行う仕組みを実装することに成功した.このオーロラ自動判定システムは,Scientific Reports 誌に論文として発表され,プレスリリースを通じて,中日新聞などのメディアに取り上げられた.
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今後の研究の推進方策 |
2023 年度は「ジンバルによるカメラ撮像方向の制御」「機械学習を用いたオーロラ発生の検出」の技術開発を完了させ,オーロラが発生した時間に自律的にオーロラ発生領域に向けて観測を行う「自動オーロラ観測ロボット」による本格的な観測を北欧において実施する.これまでの 3 年間は,コロナ禍の影響によって北欧での観測活動が制限されてきたが,本年度は,秋にノルウェーへ渡航し機器の設置を行い,冬季のオーロラ観測を実施する.この観測によって得られたカラーデジタルカメラ画像と欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT)による電子密度観測実験を組み合わせることで,オーロラの色(RGB チャンネルの比率)からオーロラ降下電子のエネルギーを定量的に導出する手法を確立する.最終的には,この手法を ISS から撮像されたオーロラの広域観測画像に適用することで,オーロラ降下電子のエネルギーを広い領域において定量的に可視化することを目指す.
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