研究課題/領域番号 |
20K20973
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 晋 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40321616)
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研究分担者 |
犬伏 正信 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 准教授 (20821698)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 乱流 / 機械学習 / 乱流モデル / エネルギー散逸率 / 数値シミュレーション / リザバーコンピューティング / シェルモデル |
研究開始時の研究の概要 |
乱流は身のまわりにありふれた現象なので、その予測や制御は様々な系で重要である。天気予報に代表されるように、多くの場合にはスパコンを用いた数値的な予測法が用いられる。このとき、乱流の全ての情報を数値的に求めることは困難なので、乱流の小スケールの普遍性に着目し、小スケールの運動のモデル化をする。従来の乱流モデルでは、流体の運動方程式に基づく演繹的手法を用いてその構築が試みられてきたが、この時、方程式の非線形性による困難が立ちはだかってきた。そこで本研究では、近年発達が目覚ましい機械学習法を乱流の普遍性に立脚して適切に応用し、方程式の非線形に起因する困難を克服した新しい乱流モデルの構築に挑戦する。
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研究成果の概要 |
機械学習による乱流モデルの構築の可能性の検証を行った。(1) 乱流モデルにおける基本物理量であるエネルギー散逸率の時系列をグリッドスケールの情報から予測するニューラルネットワーク(NN)が構築可能なことを示した。(2) 低レイノルズ数の乱流の時系列データを用いて訓練したNNをより高いレイノルズ数の乱流の時系列データに転移可能であることを示した。これは乱流モデルの構築において本質的であり、物理的には乱流の小スケールの統計の普遍性に依る。(3) 乱流の疎結合シェルモデルを用いた実証を行い、切断波数を普遍領域におき、NNのパラメタを適切に設定すれば、安定かつ高精度なモデル化が可能であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで流体の運動方程式に基づいた乱流モデルの構築が目指されてきたが、方程式の非線形性がその成功を阻んできた。一方で、機械学習が多くの分野で成功を収めたことで、乱流モデルへの応用の期待も高まっている。本研究では、機械学習を乱流モデルへと闇雲に適用するのではなく、我々がもつ乱流の動力学や統計に関する知見を活かした適用を考えた。実際、乱流のエネルギーカスケードに起因する因果関係や、その普遍性に基づく転移学習の可能性など、乱流の知見が機械学習の適用においても本質的であることを明らかにした。さらに、乱流のトイモデルに対するモデル化も実証できた。これらは、今後の関連研究の基盤を与える成果である。
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