研究課題/領域番号 |
20K20994
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤掛 英夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (20643331)
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研究分担者 |
柴田 陽生 東北大学, 工学研究科, 助教 (70771880)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 液晶性高分子 / 蛍光色素 / 波長変換 / 偏光変換 / 塗布製法 / 塗布膜 |
研究開始時の研究の概要 |
将来の食料危機を軽減するには、太陽光をフルに活用した植物栽培法が必要である。植物では光合成に適した波長が存在するだけでなく、葉緑素分子の立体異性構造により、一方の円偏光が活用される。しかし、これまでに波長と偏光の変換を行える素子は提案されていない。そこで、日光中の紫外線により特定の可視波長の円偏光の蛍光が得られて、大面積作製・低コスト化が容易な塗布膜を実現する。本研究では、細長い分子が配列して硬化する液晶性モノマーにより、細長い有機蛍光色素を高分子塗布膜中に固定することで、特定の可視波長の直線偏光を発生させる。さらに液晶性モノマーを用いた光位相差高分子膜(1/4波長板)を形成して円偏光を得る。
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研究成果の概要 |
農業の植物栽培用途で光合成を促進する波長・偏光の光を得るため、大面積化・低コスト化に有利な波長変換層・偏光変換層からなる液晶性高分子素子とその作製法を提案した。まず波長変換層を形成するため、光合成に不要な紫外線と緑色光を吸収して、赤色光を蛍光発光する2色性色素を見出した。この色素を分子配向性の液晶モノマーに添加して、光配向膜の上に塗布して紫外線で硬化することで、直線偏光成分の強い赤色蛍光を得た。この波長変換層の上に偏光変換層を形成するため、液晶モノマーを赤色光に対して1/4波長板になる厚みにして硬化した。このように一体化された積層素子では、植物栽培に有利な円偏光性の強い赤色光が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
植物栽培の収量を増やして食料危機を回避するには、太陽光のエネルギーをフルに活用した栽培法が望まれる。太陽光の自然光には植物に有害な紫外線や、クロロフィル色素を含む葉緑体の光合成に寄与しない波長(緑)の光が含まれるため、光合成に適した波長(青、赤)への変換が望まれる。また、色素分子の立体異性構造の光化学反応に基づき、一方の回転の円偏光が光合成に活用される(マメ科であれば左旋の円偏光が有用)。本研究により、光合成に有利な波長・偏光が同時に得られる素子を創出できた。この素子は、ビニールハウスのフィルムや外光併用植物工場の窓ガラスに塗布して使用できるため、今後の応用展開が期待される。
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