研究課題/領域番号 |
20K20996
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
清水 大雅 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50345170)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | SPRセンサ / 複素屈折率 / 揮発性有機化合物 / DNA / 強磁性金属 / グラフェン / 表面プラズモン共鳴センサ / 特異的検出 |
研究開始時の研究の概要 |
従来のガスセンサでは、成分の選択性と検出感度、スループットはトレードオフの関係にあり、双方を満足するガスセンサ技術は確立されていない。本研究では複素表面プラズモン共鳴(SPR)センサとDNAを組み合わせ、感度1 ppbのガスセンサの実現を目指す。大気汚染物質・揮発性有機化合物検出、安全保障を含む様々な分野への応用を念頭に、分析物の複素屈折率の評価、DNAによるガス分子認識を備えたSPRセンサによる高感度検出を実現する。大気汚染物質の多くは揮発性有機化合物であり、環境科学・農業等多方面への応用の観点から高感度検出に対する需要は大きい。安全安心な社会基盤形成に貢献し、学術体系の変革転換を目指す。
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研究成果の概要 |
気相中の揮発性有機化合物を特異的高感度で検出するために、複素表面プラズモン共鳴(SPR)センサの実現・感度向上と、DNAの固定化によるガス分子の選択的検出を試みた。金薄膜の膜厚を基板面内で変化させたくさび型構造をもつSPRセンサを作製し、赤色発光ダイオードからの光を入射し、反射光輝度の角度依存性の経時変化を集光レンズとカメラの組み合わせにより測定し、ガスを入力した時の時間推移を10秒おきに評価した。構築した測定系の角度分解能は0.0047度となり、0.000082の屈折率分解能を達成した。得られた一連の画像から信号を最大化する手順を確立し7ppbのサリチル酸メチルの検出に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
水相中のたんぱく質とDNAの間に働く特異的相互作用を利用したバイオセンサについては数多くの報告例がある一方で、気体分子とDNAの間の相互作用に基づいたガスセンサについては、報告例が少ない。本研究では、DNAをSPRセンサに固定化し、気相中でガス分子を吸着する作用を見出し、ppm~ppbレベルのガスを検出できた、という点で学術的意義をもつ。また、ヒトが匂いを認識できる嗅覚閾値は1ppbから0.1ppbとされる。本研究では少なくとも7ppbのサリチル酸メチルを検出でき、嗅覚閾値まであと1桁というところまで到達し、嗅覚閾値を認識可能なセンサを視野に入れることができた、という点で社会的意義がある。
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