研究課題/領域番号 |
20K21013
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内藤 英樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50361142)
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研究分担者 |
運上 茂樹 東北大学, 工学研究科, 教授 (60355815)
木本 智幸 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (30259973)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 非破壊検査 / ヘルスモニタリング / コンクリート構造物 / 機械学習 / 異常検知 / 振動試験 / ひび割れ / 構造ヘルスモニタリング / 振動 / AI |
研究開始時の研究の概要 |
リニア中央新幹線やカリフォルニア高速鉄道の整備など、国内外において高速鉄道の需要が高まる中で、供用中の構造物や軌道内部までも検査できる、効率的かつ高精度な検査技術の開発が望まれている。本研究は、走行車両を用いて構造物や軌道内部を検査するため、i)移動型加振源を用いた高精度検査技術の開発、ii)AIを用いた波形処理高速化と移動型検査への応用、およびiii)AIを用いた新幹線軌道の劣化マップの更新・精緻化に取り組む。本研究成果は、次世代型の高精度検査車両の実現へと繋がり、新幹線をはじめとする高速鉄道の安全性と快適性の向上に大きく寄与できる。
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研究実績の概要 |
鉄道をはじめとするインフラ施設の老朽化対策が課題となっている。高速かつ高精度に構造物の内部を検査するために、本研究では、振動試験装置を移動体に組み込んだ走行式の非破壊検査法を開発する。ハードおよびソフト開発の進捗状況をそれぞれ以下に示す。
ハード開発: 接触式加速度センサと小型加振器をキャタピラー機構に組み込み、構造物上を歩行速度で移動しながら、2.5m間隔で構造物内部を検査できる台車式点検装置を試作した。設計上は時速10kmまで速度を上げることができるが、そのためには、車体の強化や走行振動の軽減が課題として示された。また、構造物の測定間隔 (空間分解能) をより密にするためには、加振器とセンサを2セット準備して台車式点検装置に組み込めばよい。しかし、装置類 (製品)、資材、材料が市場から消えており、今年度中に振動試験装置を2セット揃えることは不可能であった。今後の納品の見通しも立たない状況である。
ソフト開発: 前年度までに開発した波形処理プログラムをアップデートした。昨年度までは、センサと構造物との接触時間を0.5秒以上確保する必要があったが、今年度はFFT処理を見直すことにより、センサと構造物との必要接触時間を0.3秒に短縮できた。これにより、台車式点検装置をより速く移動することができるようになった。さらに、FFTによって得られる周波数応答関数を学習させた機械学習により、構造物内部のひび割れや空隙を検知できることが示唆された。そして、上記の台車式点検装置によってデータを高速かつ広範囲に集めることで、大量データを糧にして、械学習をさらに鍛えることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソフト開発については、昨年度と今年度ともに、大きな進歩があった。一方、ハード開発については、コロナ禍により、市場から製品、資材、材料が消えており、試作機の製作が立ち行かなくなった。次年度は入手可能な資材を使って、試作機を組み立てたい。
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今後の研究の推進方策 |
高速かつ高精度に社会基盤施設の劣化・損傷を検査するため、振動試験装置を移動体に組み込んだ走行式の非破壊検査法を開発する。今後の研究の推進方策について、ハードおよびソフト開発の項目ごとに示す。
ハード開発: 今年度試作したキャタピラー機構による台車式点検装置の改良を進めるとともに、次年度はカムシャフトによる走行式点絵装置も試作する。これらの異なる機構について、点検での走行速度と測定データの精度の関係を整理する。
ソフト開発: 現場実証のステージに到達している。次年度は、鉄道軌道や道路構造物での現場試験を行い、機械学習による構造物の異常検知を行う。そして、波形分析や機械学習のさらなるアップデートに取り掛かる。
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