研究課題/領域番号 |
20K21024
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
榊原 豊 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80143204)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 促進活性汚泥法 / 抗生物質 / 新興汚染物質 / バイオフェントン反応 / マグネタイト / 栄養塩類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、先進国を中心に広く用いられている活性汚泥法を対象として、生物学的に過酸化水素を生産させた後にフェントン反応によりOHラジカルを生成させる促進活性汚泥法の開発を目的とする。これを達成するために、グネタイト微粒子などの鉄触媒添加条件下の嫌気性微生物および好気性微生物の培養条件、排水処理条件および処理性能を実験により明らかにする。OHラジカルを生物学的に連続生成させる試みはこれまで行われておらず、下水等の生物学的処理技術の大きなブレークスルーになる可能性がある。また、本法が開発されれば、抗生物質も含めた新興汚染物質問題の解決に大きく貢献すると考えられる。
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研究実績の概要 |
本年度はシーケンシャルバッチ反応槽(SBR)および連続反応槽による合成下水の処理実験を異なる操作条件下で行った。なお、下水処理場におけるフィールド試験はコロナ禍で自治体の許可が得られなかったため、実験室においてより実下水処理に近い条件下で検討を行った。 その結果、SBRのCOD及び抗生物質の負荷を増加させると、マグネタイト添加条件により、処理性能が大きく異なることがわかった。すなわち、マグネタイト添加率が1g/LのSBRはマグネタイト無添加あるいは3g/L条件より、処理性能が向上し、供試抗生物質のスルファメトキサゾール(SMX)をほぼ100%除去できることがわかった。これは、マグネタイト添加率を上げるとバイオフェントン反応速度が上昇し、最適な添加条件下で最大値をとるが、さらに添加率をあげると主として過酸化水素生成量が減少し、総括反応速度が減少することによると考えられた。並行して行った処理実験から、最適なマグネタイト添加率は0.2~1 g/Lと考えられた。 一方、連続反応槽を用いた処理実験では、クラリスロマイシン(CLA)、トリメトプリム(TMP)及びSMXを供試抗生物質として検討を行った。その結果、マグネタイト添加・無添加によらずSMXとCLAは99%以上除去され、一方TMPはマグネタイト添加により除去率が大きく向上することがわかった。また、連続反応槽では、SBRより浄化性能が向上する傾向がみられた。さらに、SBRおよび連続処理槽共に、活性汚泥とマグネタイトの凝集体内で過酸化水素が生成され、液本体中に拡散移動するが、その過程でOHラジカルが生成されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの処理方式であるSBRと連続反応槽について、COD、栄養塩類および抗生物質の除去能力を測定・評価することができた。マグネタイトの最適添加率、操作条件により高効率で抗生物質を安定して除去できることがわかった。詳細な設計操作諸元は今後さらに検討する必要があるが、本研究で提案した処理法の有効性、主要な浄化メカニズムおよび設計操作に関する基礎資料が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
異なる操作条件下の活性汚泥・マグネタイト凝集体は、-20℃以下で低温保存してあり、処理槽内の菌叢解析を進める予定である。また、これまでに得られた知見の多くは学術的に新規性が高く、学会発表や論文誌への投稿を進める予定である。
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