研究課題/領域番号 |
20K21029
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渡辺 俊 筑波大学, システム情報系, 教授 (60212320)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 城下町 / 街路網密度 / 格子度 / 接続性 / 迂回度 / 循環性 / 分散型エネルギー / 発電ポテンシャル / 都市構造評価手法 / Urban Network Analysis / Project PLATEAU / 3D都市モデル / 情報量損失最小化法 / 都市構造 / 都市発展段階 / 標準地域メッシュ / 平均情報量 / 相対的人口集中地区 / GIS |
研究開始時の研究の概要 |
人口減少時代を迎えるわが国の都市・社会構造の実態や課題点を把握するために、メッシュデータを用いた分析が数多く行われているが、メッシュ単位での数量データのみを通じて、その形態的性状や変化傾向を定量的に把握することは困難である。 一方で、DID(人口集中地区)を分析対象として都市構造実態やその変容を分析する試みも行われているが、人口減少に伴う都市縮小等の都市構造変容分析においては、人口増加の時代と同様にDIDの変容に基づき都市縮小の様相や実態把握を行うには限界がある。 本研究は、2050年に向けた「地方創生」の具体化検討に向けて、これらの限界に挑戦し、新たな指標の可能性を探索する。
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研究実績の概要 |
本年度は都市構造の変遷に着目し、過去との比較が可能な30都市(城下町)を対象に、幕末期と現在との比較から都市分類を試みた。まず、城下町絵図を幾何補正により現在の地図と重ね合わせることで、過去の街路ネットワークのGISデータを独自に構築した。次に、街路ネットワーク構造を定量化する都市構造評価指標として、街路網の密度(街路総延長を面積で除したもの)、街路網の広がり(Geoff Boeingの研究で提唱された格子度)、街路網の接続性(Space Syntax 理論におけるSegment Angular 分析)、街路網の迂回性(腰塚らの研究で提唱された迂回度)、街路網の循環性(ネットワーク理論)に着目し、計12指標を設定して各都市の指標値を算出した。これら12指標について主成分分析により次元削減を行ない、3つの主成分(1. 街路網がどれほど袋小路といった低循環な形態を持つか、2. 街路網がどれだけ秩序だって広がっているか、3. 街路網全体の総合的な評価)に集約した。求めた3つの主成分を変数としてクラスター分析をおこなった結果、対象とした30都市は4つの累計(1. 中秩序低接続型、2. 中循環低密度型、3. 低循環高密度型、4. 高循環高密度型)に分類できることを確認した。 また、コンパクトシティ政策を評価するための新たな指標として環境エネルギー面に着目し、地域マイクログリッドをはじめとした分散型エネルギーシステムの導入による効果の予測方法について試行した。茨城県土浦市を対象として、現状と立地適正化計画による居住誘導区域内への移動後の状態について、環境省の基準に従って太陽光パネルの設置による発電ポテンシャルを計算した。その結果、居住誘導区域外では、コンパクト化を進めることで地上設置型太陽光発電施設による発電ポテンシャルが増大することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果に基づき、第45回 情報・システム・利用・技術シンポジウムにおいて「城下町の空間評価指標の検討とその適応に関する研究 ―街路網の広がりと変遷を対象として―」、および「分散型エネルギーシステム導入の面でのコンパクトシティ政策の影響について」を発表したものの、全体としてはコロナ禍の影響から作業が遅れ気味のため、1年の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
都市構造の変遷については、城下町でよく見られるクランク状の道路の扱いについて格子度の定義との間で再検討をするとともに、引き続き現在に至るまでの空間変容に関して明らかしていく予定である。 コンパクトシティ政策の評価については、居住誘導区域内の建築物の変化によるポテンシャルの変化には触れることができていないため、引き続き検討を進めるとともに、まちのコンパクト化と再エネポテンシャルの分布の変化について、市町村レベルで電力の自給自足のポテンシャルがあるのかを評価する手法の確立を目指す。
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