研究課題/領域番号 |
20K21035
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川本 陽一 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (70569730)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 都市気候 / メソスケール気象モデル / アンサンブルシミュレーション / 不確実性 / 確率論的評価 |
研究開始時の研究の概要 |
都市に固有の気候現象である都市気候の諸問題の研究手法として、メソスケール気象モデルを用いた数値解析が広く用いられる。しかし、都市気候研究では数値解析の結果を決定論的に評価している現状がある。即ち、数値解析の不確実性は考慮されず、それぞれ単一の数値解析の結果を以て評価している。一方、数値解析では初期値・境界値に起因する誤差により、結果は不確実性を含む。 本研究では、単一の結果を評価する決定論的評価に対して、複数のアンサンブルシミュレーションの結果を統計的に評価する確率論的評価を行い、初期値・境界値に起因する不確実性を低減する事により信頼性の高い都市気候数値解析システムを構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は2022年度に引き続き、ヨーロッパ中期予報センターにより提供されるERA5再解析データを初期値・境界値の作成に用いたアンサンブルシミュレーションを実行し、既往研究での都市上空の風環境の観測結果との比較を行った。アンサンブルシミュレーションの手法として用いたラグ平均予報法は、評価対象期間に先立つ助走計算の期間を変更することでアンサンブルメンバーとする。2022年度は既往研究での観測日のうちから晴天日を1日選び評価対象日としてシミュレーションを行っていたが、2023年度は評価対象日を4日に増やし、アンサンブルシミュレーションによる結果の妥当性を検証した。また世界気象機関では12時間から72時間先までの予報を短期予報、3日(72時間)を超え10日先までの予報を中期予報と分類していることから、評価対象期間の24時間を含めて39時間から72時間まで1時間間隔でシミュレーションを行い、アンサンブルメンバーとした。従って、評価対象日4日に対してそれぞれ34メンバー、計136のシミュレーションを行った。 シミュレーション結果は既往研究にて観測された上空の風環境との比較を行い評価した。既往研究の観測ではリモートセンシング機器であるDoppler LIDARを用い、福岡市上空の高さ40 mから260 mまで20 m間隔の風向風速を測定した。シミュレーション結果と観測結果の比較では、風向風速に加え乱流運動エネルギーを評価項目とした。評価対象日により傾向の差異は見られるものの、概してラグ平均予報法を用いたアンサンブルシミュレーションの結果は観測結果と良い対応を示す結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度より初期値・境界値にヨーロッパ中期予報センターにより提供されるERA5再解析データを用いてラグ平均予報法によるアンサンブルシミュレーションを実行しその妥当性を検証している。2023年度はアンサンブルシミュレーションの妥当性をより広く検証するため、助走計算時間の幅を広げ、またアンサンブルシミュレーションの評価対象日を増やした結果、大量のシミュレーションデータが出力されている。そのため、シミュレーション結果の解析に時間が掛かり、進捗状況に多少の遅れが見られる。
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今後の研究の推進方策 |
アンサンブルシミュレーションのメンバーを増やした結果としてシミュレーション結果の解析に多少の遅れが出ている状況であるが、2024年度前半にシミュレーション結果をとりまとめ、その成果を投稿する見込みである。
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