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巨大災害時の生活再建困難者の発生を抑制する災害ケースマネジメント手法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K21059
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
研究機関徳島大学

研究代表者

上月 康則  徳島大学, 環境防災研究センター, 教授 (60225373)

研究分担者 宮定 章  和歌山大学, 災害科学・レジリエンス共創センター, 特任准教授 (00836851)
井若 和久  徳島大学, 人と地域共創センター, 学術研究員 (50795060)
松重 摩耶  徳島大学, 環境防災研究センター, 助教 (70845205)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
キーワード災害ケースマネジメント / 東日本大震災 / 被災者支援 / 困窮過程 / 生活困窮 / 在宅被災者 / 生活再建 / 在宅避難 / DCM / 南海トラフ巨大地震 / 生活再建困難者
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は,DCMを災害の発災前から実施することで,災害によって発生する生活再建困難者の発生を抑制,減少させる方法を明らかにすることである.
具体的には,①過去の災害時の事例調査で生活再建困難者となる条件(Ai,i=1,2,3・・・)を見いだし,②発災前のDCMによって生活再建困難者となる条件Aiを取り除く方法を提案し,③発災後にも不断な支援を実施できるDCMの体制を事前につくることである.対象とする災害は,南海トラフ巨大地震,対象地域は当災害によって約3万人の死亡するなど甚大な被害が想定されている徳島県である.

研究実績の概要

R5年度は,東日本大震災発災後における在宅被災者の生活困窮課題の因果関係を整理・見える化し,被災者支援の在り方にについて考察を加えた.データは,東日本大震災発災後,在宅被災者を支援してきた団体の一つである一般社団法人チーム王冠が東日本大震災から4年を経た2015年11月より仙台弁護士会と宮城県の沿岸市町を対象に「在宅被災者等戸別訪問型法律相談」を実施したアセスメントシートを用いた.
その結果,課題項目数は44個あり,1世帯あたり最大で12個,平均5個の課題を抱えていた.課題を「支援」「家屋」「情報」「精神・意欲・不満(精神課題)」「経済・生業」「復興計画」「交流」「体調・怪我」「その他」に大別すると,最も多かった区分は「精神課題」で「うつ」「生きる気力をなくす」「行政不信」等の課題があった.また時間の経過につれて,行政や地域の課題からコミュニティや精神,健康上の問題など個々の被災者への対応が必要な課題へとつながっていく様子がうかがえた.長期間困窮するような被災者を生まないためには,起点となるような“上流側”での支援が重要であることが本検討からもわかった.
課題を結ぶ因果関係の矢印の数は121本ありこの矢印の種類ごとの事例数を合計すると因果関係の総数は734件あった.最も多かった因果関係は①「支援格差」から「不満」,②「支援制度を受けられない」から「家屋修理未完了」の13個であった.具体例として,①では「在宅被災者には物資や情報などの支援がなく,仮設住宅の被災者との間に支援格差の不満を感じた」ということや,②には「震災により人間関係が壊れ,正常な判断ができなかったために支援制度を受けられず,家屋修理も未完了のままである」といった事例があった.
これに対して,被災者支援団体情報提供やコミュニティづくり,専門家の支援につなげるなど個別に様々な支援を行い,被災者の困窮度を和らげていたことがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)支援団体「チーム王冠」に提供されたアセスメントシートのうち,未解析の70事例を詳細に解析し,未災地の徳島に活かす教訓としてまとめる.特に,地震のみの被害者と連続被災を受けた被災者との困窮の過程や程度に着目すること,他の災害事例との比較を行い,調査研究を進めること.本課題については,解析を終えており,一部学会で口頭発表を行う予定である.さらにR6年度には査読付き論文に投稿する計画にしている.
(2)教訓を周知するためのアウトリーチ活動を行う.具体的には,訓練やゲームなどの啓発プログラムの開発を行う.
「よりよい復興」を成し遂げた事例を四国の災害の中から,計7事例を抽出し,カルタにすることができた.その後,小学校や四国内の防災フェスタへの来場者にカルタ遊んでもらい,参加者は復興への関心を高めたことを確認することができた.この成果は,R6年度の防災教育学会で発表する予定である.
(3)4年間の研究成果をまとめ,学会に報告する.
R5年度は6件の学会での口頭発表を行ったが,査読付き論文にまとめることができていない.
以上のことから,(1)(2)は概ね順調で,(3)は遅れており,総合的には「おおむね順調」と判断した.

今後の研究の推進方策

研究最終年度のR6年度に行う研究内容は次の3点である.
(1)本研究成果と能登半島地震での事例を比較検討し,被災者の困窮過程と支援方法に関する一般化をはかる.
(2)教訓を周知するためのアウトリーチ活動を行う.具体的には,訓練やゲームなどの啓発プログラムの開発を行い,広く配布する.
(3)5年間の研究成果をまとめ,学会誌に投稿する.

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (30件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (23件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 東日本大震災後の連続災害による在宅被災者の困窮過程と支援に関する調査研究―南海トラフ巨大地震未災地で教訓とするために2023

    • 著者名/発表者名
      上月康則,河野有咲,伊藤健哉,井若和久,堀井秀知,松重摩耶,宮定章,山中亮一
    • 雑誌名

      災害復興学会論文集

      巻: 21 ページ: 21-30

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域の安全な津波避難路確保に向けたブロック塀対策の協働的取組み2022

    • 著者名/発表者名
      井若和久,上月康則,小山翔太郎,天羽誠二,内野輝明,堀井秀知,吉野哲一
    • 雑誌名

      土木学会論文集F6(安全問題)

      巻: 78 ページ: 21-31

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 東日本大震災での在宅被災者の困窮に関する要因分析-連続災害に着目して-2022

    • 著者名/発表者名
      上月康則,伊藤健哉,井若和久,堀井秀知,渡辺公次郎,松重摩耶,宮定章,山中亮一
    • 雑誌名

      令和 4 年自然災害フォーラム&第 17 回南海地震四国地域学術シンポジウム

      巻: 17 ページ: 21-27

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 徳島県総合防災訓練での被災者相談とその評価2022

    • 著者名/発表者名
      井若和久,堀井秀知,上月康則,天羽誠二,内野輝明,湯浅雅志,阿部知幸,吉野哲一,中原優江
    • 雑誌名

      令和 4 年自然災害フォーラム&第 17 回南海地震四国地域学術シンポジウム

      巻: 17 ページ: 35-42

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 点群データを用いたブロック塀の自動抽出に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      梅原 喜政, 塚田 義典, 田中 成典, 上月 康則, 下鳴 恒彰, 平野 順俊
    • 雑誌名

      土木学会論文集F3(土木情報学)

      巻: 77 号: 2 ページ: I_161-I_173

    • DOI

      10.2208/jscejcei.77.2_I_161

    • NAID

      130007998819

    • ISSN
      2185-6591
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impacts of collective housing relocation in the Ogatsu area of Ishinomaki City after the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami2021

    • 著者名/発表者名
      Miyasada Akira、Maly Elizabeth
    • 雑誌名

      IOP Conference Series: Earth and Environmental Science

      巻: 630 号: 1 ページ: 012014-012014

    • DOI

      10.1088/1755-1315/630/1/012014

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] IDに基づく防災教育の設計•評価に関する一考察 -青赤紙を用いた率先避難訓練を事例に-2020

    • 著者名/発表者名
      松重摩耶,上月康則,河野有咲,山中亮一,西山勇輝
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 76 号: 2 ページ: I_1195-I_1200

    • DOI

      10.2208/kaigan.76.2_I_1195

    • NAID

      130007935761

    • ISSN
      1883-8944, 1884-2399
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 海辺の環境教育と防災教育2024

    • 著者名/発表者名
      松重摩耶,上月康則,宮内尚暉
    • 学会等名
      関西環境教育学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 四国防災八十八話における復興に関する教訓の抽出と一考察2023

    • 著者名/発表者名
      北村大翔,松重摩耶,上月康則,松家茉莉子,山中亮一,松尾裕治
    • 学会等名
      土木学会四国支部第 29 回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災在宅被災者にみる教訓「あのとき,こうしていたら」について2023

    • 著者名/発表者名
      松家茉莉子,上月康則,河野有咲,松重摩耶,伊藤健哉,井若和久,堀井秀知,山中亮一
    • 学会等名
      土木学会四国支部第 29 回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災在宅被災者の生活再建に及ぼす危険区域指定の影響について2023

    • 著者名/発表者名
      松家茉莉子,上月康則,松重摩耶,河野有咲,伊藤健哉,井若和久,堀井秀知,山中亮一
    • 学会等名
      土木学会四国支部第 29 回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災後の連続災害と在宅被災者の生活再建困難との関係について2023

    • 著者名/発表者名
      上月康則,河野有咲,伊藤健哉,松重摩耶,松家茉莉子,山中亮一
    • 学会等名
      土木学会四国支部第 29 回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災の在宅被災者における格差問題について2023

    • 著者名/発表者名
      松家茉莉子,上月康則,伊藤健哉,河野有咲,松重摩耶,井若和久,堀井秀知,山中亮一
    • 学会等名
      令和5 年自然災害フォーラム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 震災から4年後の石巻市在宅被災者の困窮問題について2022

    • 著者名/発表者名
      上原璃空,上月康則,松重摩耶,河野有咲,松本成人,堀井秀和,井若和久,宮定章,伊藤健哉,山中亮一
    • 学会等名
      土木学会四国支部技第28回術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 防災学習アナログゲーム開発留意点について~59種類のゲーム体験より~2022

    • 著者名/発表者名
      岡田裕矢,松重摩耶,佐川礼奈,上月康則,山中亮一,河野有咲,松本成人,小山翔太郎,井川博之
    • 学会等名
      土木学会四国支部技第28回術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 令和元年台風19号における教育機関の浸水被害から学ぶ教訓2022

    • 著者名/発表者名
      松重摩耶,湯浅恭史,上月康則
    • 学会等名
      土木学会四国支部技第28回術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災後の連続災害による在宅被災者の困窮過程と支援について~南海トラフ巨大地震未災地で教訓とするために~2022

    • 著者名/発表者名
      河野有咲,上月康則,松重摩耶
    • 学会等名
      日本災害復興会議
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災での在宅被災者の困窮に関する要因分析-連続災害に着目して-2022

    • 著者名/発表者名
      河野有咲,上月康則,伊藤健哉,井若和久,堀井秀知,渡辺公次郎,松重摩耶,宮定章,山中亮一
    • 学会等名
      土木学会四国支部技第28回術研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災での石巻市周辺在宅被災者の困窮問題について2022

    • 著者名/発表者名
      松本成人,上月康則,河野有咲,松重摩耶,山中亮一,井若和久,堀井秀知,宮定 章,伊藤健哉
    • 学会等名
      自然災害フォーラム令和3年度自然災害フォーラム &第16回南海地震四国地域学術シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 南海トラフ巨大地震にどう備える?~在宅被災者の問題~2022

    • 著者名/発表者名
      上月康則,松重摩耶
    • 学会等名
      徳島県市町村社会福祉協議会職員連絡会ボランティアコーディネート研修会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 南海トラフ巨大地震での災害ケースマネジメント要支援者数推定の一試行2021

    • 著者名/発表者名
      河野有咲,松重摩耶,上月康則,松本成人,山中亮一,小山翔太朗,井若和久,宮定 章.堀井秀知
    • 学会等名
      土木学会四国支部第27回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] わが国での災害ケースマネジメントの事例と徳島県での取り組みについて2021

    • 著者名/発表者名
      松本成人,上月康則,松重摩耶,河野有咲,小山翔太郎,堀井秀知,井若和久,宮定 章
    • 学会等名
      土木学会四国支部第27回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 東日本大震災での在宅避難者について2021

    • 著者名/発表者名
      上月康則
    • 学会等名
      エフエムとくしま防災カフェ
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 高校生 800 名を対象とした「青赤紙」を用いた率先避難訓練の効果について2020

    • 著者名/発表者名
      河野有咲,松重摩耶,西山勇輝,小山翔太郎,山中亮一,上月康則
    • 学会等名
      土木学会四国支部第26回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 「四国防災八十八話」を題材とした防災学習の設計と評価の検討2020

    • 著者名/発表者名
      松重摩耶,上月康則,河野有咲,小山翔太郎,山中亮一,松尾裕治
    • 学会等名
      土木学会四国支部第26回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 防災学習半年後の避難・通学路に対する津田中学生の意識変化について2020

    • 著者名/発表者名
      西山勇輝,松重摩耶,西山勇輝,小山翔太郎,山中亮一,上月康則
    • 学会等名
      土木学会四国支部第26回技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] センシングデータを用いたブロック塀の維持管理に関する構想研究2020

    • 著者名/発表者名
      梅原喜政,塚田義典,田中成典,上月康則,下鳴恒彰
    • 学会等名
      土木情報学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] シンポジウムの参加者アンケートからみた災害ケースマネジメント啓発の課題とその対応について2020

    • 著者名/発表者名
      河野有咲,松重摩耶,井若和久,堀井秀知,山中亮一,上月康則
    • 学会等名
      自然災害フォーラム
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 徳島県3地区のコンクリートブロック塀の分布と安全性の特徴について2020

    • 著者名/発表者名
      小山翔太郎,上月康則,松重摩耶,笠井義文,河野有咲,西山勇輝,小川宏樹,山中亮一
    • 学会等名
      21世紀の南海地震と防災
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 人口減少社会における地方自治体の復興方策の一考察~宮城県石巻市の人口動向データを元に~2020

    • 著者名/発表者名
      宮定 章
    • 学会等名
      地域安全学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-08-03   更新日: 2024-12-25  

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