研究課題/領域番号 |
20K21083
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
柴田 曉伸 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, グループリーダー (60451994)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 脆性破壊 / マルテンサイト鋼 / 塑性変形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではマルテンサイト鋼において生じる脆性破壊を研究対象とし,クラック進展抵抗曲線解析によりマクロ破壊特性を評価すると伴に,走査型電子顕微鏡像を用いたデジタル画像相関法により,各破壊素過程におけるクラック近傍領域のミクロスケールでの塑性変形挙動をその場解析により詳細に調べる.そして得られた結果を基に,各破壊素過程における原子スケール破壊特性/ミクロスケールでの塑性変形挙動/マクロ破壊特性の定量相関を解明する.本研究は,破壊現象におけるこれまでの定性的・現象論的な議論からの脱却・発展を目指すものである.
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研究成果の概要 |
本研究では破壊過程に伴うミクロスケール塑性変形挙動を定量的に評価することを目的として実験を行った.水素脆性粒界クラック先端には塑性ひずみが局所集中していることをSEM-EBSD解析によって明らかにした.また,水素脆性擬へき開クラックの発生サイトは有限要素シミュレーションにおける塑性ひずみ最大の領域に対応しており,デジタル画像相関法により水素の存在によって塑性ひずみ量が増加する傾向を確認した.さらに,引張変形により導入される局所塑性ひずみ分布とマルテンサイト微視組織の関係をデジタル画像相関法によって調べた結果,旧オーステナイト粒界に優先的に塑性ひずみが集中することが明らかとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,マルテンサイト鋼の脆性破壊という具体的な現象において,その破壊過程におけるミクロスケール塑性変形挙動をSEM-EBSD解析,デジタル画像相関法,有限要素シミュレーションにより定量的に評価した.この結果は,破壊現象における原子スケール破壊特性 / ミクロスケールでの塑性変形挙動 / マクロ破壊特性の定量相関解明に関しての道筋を示したものであるため,破壊研究分野を飛躍的に発展させる契機となる可能性を十分に有していると言える.さらに脆性破壊を抑制するための材料組織制御法に繋がるため,耐破壊特性に優れた材料開発を通して,安全・安心な社会を構成するための社会基盤の構築に貢献しうるものである.
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