研究課題/領域番号 |
20K21084
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸田 恭輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20354178)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 変形機構 / 転位 / 硬質材料 / 協調原子運動 / 脆性金属間化合物 / マイクロピラー試験 / 力学特性 |
研究開始時の研究の概要 |
硬質結晶性材料は各種構造材料の強化相としての応用が期待されているが,その本質的な力学特性に関しては不明な点が多い.本研究では新規機械試験法である単結晶マイクロピラー圧縮試験法をセメンタイト相やFe-Cr系σ相をはじめとする各種硬質結晶性材料に適用することにより,これまで塑性変形が実質不可能と考えられてきた各種硬質結晶性材料の室温塑性変形挙動の詳細を明らかにする.さらに研究代表者がセメンタイト相やFe-Cr系σ相において独自に見出した特異な転位の運動による塑性変形の詳細について,最新の電子顕微鏡法を駆使した詳細な解析,第一原理計算による理論的検討を行い,そのメカニズムの解明を目指す.
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研究成果の概要 |
複雑結晶構造を有する硬質結晶性材料の塑性変形機構の解明を目的とし,Fe-Cr系σ相や遷移金属シリサイドなどの種々の硬質材料について,単結晶マイクロピラー圧縮試験法による活動すべり系とその臨界分解せん断応力の同定,透過電子顕微鏡法による転位組織の解析といった実験研究と第一原理計算による理論的検討を横断的に行った.Fe-Cr系σ相ではZonal型転位の運動による塑性変形を実験的に世界で始めて確認し,転位芯部分における協調的原子移動モデルの構築に成功した.他の材料においても室温でのすべり変形の導入,変形モードの同定に成功し,得られた結果に基づき硬質材料の室温変形機構に関する考察を行った.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得たFe-Cr系σ相における特異な転位の転位芯構造に関する知見はこの材料だけでなく,これまで実験的証拠の欠如のため十分に検討されてこなかった他の複雑構造を有する結晶性材料の変形機構の理解を深化させることにつながるため,学術的に非常に重要で意義がある.また本研究で得た他の硬質材料の室温塑性変形に関する結果とともに,各種硬質結晶材料の各種構造材料の強化相としての実用化の際の問題の一つである室温脆性の改善策の提案にもつながる重要な知見であるため,工業的・社会的にも十分に意義がある.
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