研究課題/領域番号 |
20K21090
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 久子 愛媛大学, 理学部, 研究員 (20500359)
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研究分担者 |
會澤 純雄 岩手大学, 理工学部, 准教授 (40333752)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 無機キラリティ / 赤外円二色分光法 / 光学分割 / 粘土鉱物 / 層状複水酸化物 / 層状化合物 / 振動円二色性分光法 / キラリティ / 赤外円二色性分光法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では今までに例のない機能性無機ナノスクロール型シート創製とその不斉構造の原子レベルでの解明に挑戦する。本研究の挑戦的側面は次の3点である:(1)ハイドロタルサイト(LDH:層状複水酸化物)の層表面をキラル有機イオンで修飾・剥離化し、有機層のねじれ効果により層の湾曲を引き起こす。焼成により有機成分を除去して、無機成分のみからなるスクロール型ナノシートを創製する。(2)顕微スキャン型固体赤外円二色性分光法を開発し、振動構造の解析から金属イオンの周りの不斉配位構造を明らかにする。(3)LDHが有する本来の触媒作用に加えてキラルな層構造の不斉識別能を用いた不斉触媒に挑戦する。
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研究実績の概要 |
キラル物質の一方の型(エナンチオマー)を得ることは高度な分子認識機構が必要である。本研究では、新しい修飾剤として、不斉合成で用いられているCu(II)錯体 ([Cu(RR- or SS-oxa)]2+ (oxa = 2,2′-isopropylidene-bis(4-phenyl-2-oxazoline))を合成した。メタノール溶媒に分散した球状合成ヘクトライトにCu(II)錯体を加えてろ過し、粘土鉱物と錯体とのイオン交換体を得た。得られた青緑粉末をステンレスチューブ(5 cm × 4 mm (i.d.))に充填してカラムとした。分割能を調べるために、光学活性な中性金属錯体として他の方法では分割困難な[Co(acac)3] (acacH = 2, 4-pentanedione) を選んだ。溶離曲線は二つのピークを示し、各ピークで分取したサンプルを円偏光分光スペクトルで分析した。この結果、この錯体のほぼ完全な光学分割に成功したことが確かめられた。第1原理シミュレーションから、[Cu(SS-oxa)]2+の配位不飽和サイトが不斉識別を行っていることがわかった。さらに、各種の光学活性な有機分子の光学分割にも成功した。この結果は産業界でも要求の大きい光学分割カラムとして、環境にやさしい粘土鉱物を用いており実用的にも有望であることを示したこの内容で論文化およびプレスリリースをおこなった。 また、フェニルアラニン(Phe)と酒石酸(Tart)の二種類の光学活性物質を取り込んだPhe/Tart/LDHの合成を試み,固体赤外円二色性分光法を用い,Phe/Tart/LDHのゲスト-ゲスト間またはホスト-ゲスト間の相互作用を解明した。この結果を論文化およびプレスリリースをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文化および書籍出版につなげた。さらに、無機物質のみのキラリティ創成にむけて最終検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標はキラル有機分子/無機層状化合物から無機物質のみで構成されるキラル材料を創製することである。キラル触媒の配位子として用いられている、リン酸水素-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイル (BNDHP) をLZHの層間に取り込んだBNDHP/LZHの合成ならびにBNDHP/LZHの焼成によるリン酸亜鉛の合成や解析方法を検討する。
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