研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究は低温・短時間で金属3Dプリンタによる積層造形を可能にする合金ナノペースト(LTGCナノペースト)の開発を目的とする。LTGCナノペーストでは、液体金属(Ga)に銅ナノ粒子を分散することで次の2つ効果が期待される。(1)液体金属と銅ナノ粒子の混合により非流動性のペースト状なり、3Dプリンタによる印刷が可能となる。(2) 100℃程度で低温融解する銅ナノ粒子は低温加熱でGaと反応してCuGa合金となる。合金化した液体金属の融点は250℃以上に上昇し、LTGCペーストは硬化することで,金属積層造形物が作製できる。
本研究では、金属3Dプリンタ用導電材料として、液体金属に銅粒子を分散させた導電ペースト(以下、LTGCペーストと呼ぶ)の開発を目的とした。その結果、従来の高温溶融させた液体金属を冷却凝固させる方法ではなく、室温で液体の液体金属(ガリウム-インジウム共晶(EGaIn))と銅粒子との合金反応による融点上昇により液体金属を凝固する新たな視点からの金属導電ペーストの開発することができた。LTGCペーストは、180℃の低温で硬化反応を示し、このLTGCペースト調製には、(1)乳酸添加によるGaとCuの合金化促進、エッジ(端部)部分に高い活性面を有する扁平銅粒子の組み合わせが、重要であることを明らかした。
本研究で開発したLTGCペーストは、現在の「融点以上で金属粉を高温溶融し、その後冷却して凝固させる方法」から、「液体金属の融点上昇により凝固させる」というこれまでとは異なる視点により、現法で困難な、短時間、低温ヒーター加熱により金属プリンタで積層造形物を製作できる導電ペーストとしての利用が期待される。LTGCペーストの熱硬化物であるGaCu合金は、高い電気伝導性と熱伝導性を有することから、エレクトロニクス材料としても優れている。このLTGCペーストの特徴を活かし、エレクトロニクス 3D 回路、電池、センサなどのエレクトロニクスの3Dプリントの可能性を示した意義は大きい。
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