研究課題/領域番号 |
20K21116
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
黒田 眞司 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40221949)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 単一スピン / 量子ドット / 量子ビット / 表面弾性波 / 励起子発光 / スピントロニクス / 交換相互作用 / 顕微分光 / スピン‐歪結合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、半導体ドット中の単一磁性スピンと機械的振動とを組み合わせた試料構造を作製し、磁性スピンと格子振動との結合を調べることを目的とする。CdTeドット中に含まれるCr原子1個の単一磁性スピンを対象とし、表面弾性波の生成に伴う格子歪によるCrスピン状態間の遷移を明らかにする。さらにフォノンとCrスピンとの結合による混成状態を検証し、フォノン媒介によるCrスピン制御の手法を開拓することを目指す。
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研究成果の概要 |
我々は、Cr原子1個を含むCdTe自己形成ドット(SAD)を対象に、ドット中の単一Crスピンの様々な特性を詳細に調べ、量子情報処理への応用、とりわけ格子歪によるCrスピンの変調の実現を目指して研究を行っている。本研究では、Crを含まないCdTe SADにおいて表面弾性波(SAW)を発生させる試料構造を作製し、ドットの励起子発光スペクトルがSAW発生に伴う格子歪により変調されることを検証した。またCrがこれまでとは異なる荷電状態の1価のイオン(Cr+)にあるドットからの発光を観測し、その振舞いをダイナミクスも含めて詳細に調べ、Cr+状態のスピンは20μsという長い緩和時間を有することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
固体中の単一スピンは量子情報処理への応用の観点より注目を集め、種々の系を対象とした研究が行われている。本研究対象の半導体ドット中の遷移元素の原子1個のスピンは、これまでの我々の研究により、比較的長いコヒーレンスを保ち、また格子歪と強く結合することが明らかとなっており、量子ビットとして有望な系である。本研究では、格子歪によるCrスピンの変調の前段階として、Crを含まないドットを対象に表面弾性波による励起子発光の変調を実験的に検証し、またCrの異なる荷電状態におけるスピンの振舞いを明らかにした。これらの成果は遷移元素の単一スピンの量子情報処理への応用の観点から意義を有し、今後の進展が期待される。
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