研究課題/領域番号 |
20K21119
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 (2021-2023) 電気通信大学 (2020) |
研究代表者 |
宮町 俊生 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (10437361)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / トポロジカル絶縁体 / 近藤効果 / 磁性単一原子 / 単原子磁石 |
研究開始時の研究の概要 |
SmB6は近年トポロジカル近藤絶縁体と理論的に予測され、新奇な量子現象の発現が期待されている。本研究ではSmB6(001)表面の極低温STM観察を行い、その構造と電子状態を原子スケールで観察する。特に、磁性単一原子との磁気結合を利用してSmB6(001)表面の近藤状態をナノスケールで局所的に変調させることによって、トポロジカル表面状態と近藤状態の相関を明らかにし、強相関トポロジカル状態の発現機構の理解につなげる。
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研究実績の概要 |
極低温領域で強い電子相関によって金属-絶縁体転移を起こすSmB6は近年、トポロジカル絶縁体であると理論予測され新奇な量子現象の発現が期待されている。本研究ではSmB6(001)表面に磁性Co単一原子を作製し、両者の間に働く磁気相互作用を利用して近藤効果(強い電子相関)がSmB6のトポロジカル表面状態の発現に及ぼす影響を原子スケールで明らかにすることを目的とする。本年度はまず、STM装置の改良に取り組み、電子ビーム蒸着源を用いたその場蒸着により磁性Co単一原子をSmB6(001)表面上に作製できるようにした。Co単一原子がSmB6の近藤共鳴状態と表面電子状態に及ぼす影響を明らかすることを目的に、加熱温度を精密制御してp(1×1)領域とc(2×2)領域が共存したSmB6(001)表面を作製した。そして、それぞれの領域上にCo単一原子を吸着させてSmB6との磁気相互作用をSTM分光測定によって調べた。実験ではまず、Co単一原子吸着前のp(1×1)-SmB6(001)表面とc(2×2)-SmB6(001)表面のSTM分光測定を行った。スペクトル形状や近藤効果に由来するエネルギーギャップの大きさが異なることが示され、表面構造の違いによって電子状態、特に電子相関の様子が大きく変調を受けることがわかった。次にCo単一原子の電子状態を調べた。結果、Co単一原子のフェルミ準位近傍のSTM分光スペクトルはファノ関数で再現されたことから近藤共鳴状態が形成されていることがわかった。また、p(1×1)領域とc(2×2)領域上ではスペクトルの形状が異なり、さらにCo単一原子周辺のSmB6電子状態の空間変調の様子にも違いが観測された。SmB6(001)表面の構造の違いによってCo単一原子との相互作用強度が異なることが示唆される。
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