研究課題/領域番号 |
20K21136
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山田 貴壽 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (30306500)
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研究分担者 |
増澤 智昭 静岡大学, 電子工学研究所, 講師 (40570289)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | グラフェン / ダイヤモンド / 量子計測 / NV中心 / 量子センサ |
研究開始時の研究の概要 |
グラフェン/ダイヤモンドヘテロ接合により、負に帯電したNV中心を安定化させ、生体分子やニューロン構造解析を実現する技術を開発する。n型ダイヤモンドのバルクでは、世界最長のコヒーレンス時間を有する負に帯電したNV中心を実現している。高感度量子計測には、このNV中心がダイヤモンド表面近傍で安定して存在することが重要であるが、その表面近傍には正にイオン化したドナーが存在するため、NV中心が安定に存在できない。原子1層の厚みのグラフェンをダイヤモンド上に形成し、グラフェン中の電子をダイヤモンドに共有することで、内部障壁を低減し、負に帯電したNV中心を安定化かつ長コヒーレント時間化する。
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研究成果の概要 |
ダイヤモンド表面の負に帯電したNV中心(NV-)の安定化のため、高電子濃度グラフェン/ダイヤモンド構造の形成を提案した。湿式転写法とKOH水溶液を用いたカリウム添加により、K添加グラフェンをダイヤモンド上へ形成した。ラマンスペクトルでグラフェン/ダイヤモンド構造が得られたことを確認した。共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡観察ではグラフェン/ダイヤモンド構造で安定した発光スポットが確認され、PLスペクトルから発光がNV-中心と確認された。一方、ダイヤモンドのみの場合、発光がブリンキングしており、安定したNV-中心は観察されなかった。グラフェン/ダイヤモンド構造によるNV-中心安定化が実証された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によってグラフェン/ダイヤモンド構造によるNV-の安定化を実証することができた。ダイヤモンドNV中心を用いた高感度量子計測ではNV-が表面に近いほど感度が劇的に向上することから、本研究成果は超高感度磁気センサなど新たな量子デバイスを可能にする鍵となる発見である。今後、生体分子やニューロン構造解析、脳や心臓の動的計測など新たな応用に重要な要素技術であり、ダイヤモンド磁気センサによる新学術領域開拓の意義がある。さらに、量子情報通信を通じたポスト5G対応やAI効率化による新薬開発、スマートグリッドによるエネルギー効率化などSDGsに資する応用の要素となる技術であり、社会的意義も大きい。
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