研究課題/領域番号 |
20K21150
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
平山 司 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 執行理事 ナノ構造研究所副所長 (50399599)
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研究分担者 |
穴田 智史 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (40772380)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 2光源 / 可干渉 / 高度情報科学 / 像再生 / ダメージレス / 可干渉2光源照射 / 透過電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
透過電子顕微鏡観察では,試料は電子線照射によって大なり小なりダメージを受ける.本研究は,量子力学の基本的原理を活用した「干渉」によって,試料への電子線照射量を最小にして照射損傷を抜本的に回避しながら高度情報科学手法によって良質な像を得ることにより,電子線照射に弱いナノ材料の解析・評価法を格段に進歩させることを目的とする.本研究により開発する手法によって,電子線照射損傷をほとんど受けずに試料の実像を得ることができるようになる.これは全く新しいダメージレス観察法であり,透過電子顕微鏡法のみならず,すべての波動光学の領域に応用できる.
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研究実績の概要 |
本研究は,量子力学の基本的原理を活用した「干渉」と近年非常に進歩している「高度情報科学」による情報解析やイメージング法によって,TEM観察における試料への電子線照射量を最小にして照射損傷を抜本的に回避しながら良質な像を得る技術を確立し,電子線照射に弱いナノ材料の解析・評価法を格段に進歩させることを目的としている. 本研究において,令和2年度には,初期計画で想定した実験条件ではフーリエ面上に現れる微小物体の情報が,予想よりはるかに小さいことがわかった.このことは,フーリエ面に形成されるパターンを情報科学的手法を用いて処理することによって像再生を目指す本研究において,重要な課題であるため,令和3年度には次の2つの項目について理論的に検討・考察した. その結果,まず,点物体を反位相の2つの完全可干渉平面波で照射した場合に発生する2つの散乱球面波の強度は,打ち消し合ってその強度は非常に小さくなることが示唆された.次に,完全可干渉性を持つ2つの平面波が試料面で干渉した場合,電子線強度がゼロになる場所では波動場そのものがゼロになることがわかった.このことは,そこに置かれた点物体からは散乱波が発生しない可能性を示唆しており,2つの平面波によって発生する2つの球面波の情報を分離結像するという本研究の手法が,簡単には成り立たないことを意味する.このため,点物体からなんらかの方法で散乱球面波を発生させる手法が望まれる. 最近,量子電子顕微鏡と呼ばれる新しく興味深い手法が提案され予備的な実験が国内外で行われていることを知り,令和4年度にはこの技術を応用して我々の問題解決に使えないかどうかを検討したが,我々の目指す手法とは異なり,電子線強度は試料のどの部分においてもゼロにはならず,我々の問題の解決方法にはならないことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」のところで記述したとおり,完全可干渉性を持つ2つの平面波が試料面で干渉した場合,電子線強度がゼロになる場所では波動場そのものがゼロになることがわかった.このことは,そこに置かれた点物体からは散乱波が発生しない可能性を示唆しており,2つの平面波によって発生する2つの球面波の情報を分離結像するという本研究の手法が,簡単には成り立たないことを意味する.また,フーリエ面での試料情報は,初期計画で考えていたよりはるかに小さく,検出困難であるというシミュレーション結果とも一致する.このため,点物体からなんらかの方法で散乱球面波を発生させる手法が必要である. 以上のように,当初計画では想定していなかった問題が発見され,それを解決する有力な方法が見つけられていないため,当初計画に比べると「やや遅れている」と判断せざるを得ない.
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今後の研究の推進方策 |
初期計画には含まれていない課題(入射波強度がゼロの場所においた点物体から散乱球面波を発生させる何らかの技術)が明らかになったので,今後は次の方針で研究を進める. (1)「入射波強度がゼロの場所においた点物体から散乱球面波を発生させる何らかの技術」を考案する. (2)上記の条件を満たす理想的な実験ではないが,現在所有する電子顕微鏡を用いて,不完全ながらも干渉結像実験を行い,理想的な実験に向かってアプローチする.
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