研究課題/領域番号 |
20K21162
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒崎 健 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (90304021)
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研究分担者 |
大石 佑治 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20571558)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ヒ化ホウ素 / ホウ化シリコン / 熱伝導率 / 同位体効果 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、極めて高い熱伝導率を示す新材料としてヒ化ホウ素が注目されている。一方、ホウ素の同位体にはホウ素10とホウ素11があり、天然の同位体組成はホウ素10対ホウ素11で約2対8である。物質を構成する原子の質量差は、固体中で熱を伝えるフォノンの散乱要因となる、すなわち、熱伝導率を低減させる。本研究において、従来は天然ホウ素から合成されているヒ化ホウ素に対して、そのホウ素の同位体組成を調整する(ホウ素10かホウ素11に濃縮したホウ素をもとにヒ化ホウ素を合成する)ことで、熱伝導率のさらなる向上を図る。
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研究成果の概要 |
ヒ化ホウ素ならびにホウ化シリコンの熱伝導率を研究した。とりわけ、ホウ素の同位体組成と熱伝導率の相関に着目した。海外研究者と連携することで、ヒ化ホウ素の合成をすすめたが、ヒ素の毒性に起因する実験の困難さから、少量の試料の合成はできたが、物性評価に供することができるだけの量を取り扱うことができないという結論に至った。一方、ホウ化シリコンに関しては、シリコンとホウ素が1;6の化合物(SiB6)の合成に成功した。SiB6の基礎物性を網羅的に評価した結果、SiB6が低い熱伝導率と高い硬度を併せ持つ特殊な材料であることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回、当初は高熱伝導率材料として期待されているヒ化ホウ素に着目して研究を開始したが、思わぬところからホウ化シリコン(SiB6)の特異物性を発見することができた。具体的には、SiB6が非常に高い硬度と低い熱伝導率を併せ持つことを見出した。SiB6において、その極端に複雑な結晶構造とナノスケールで材料中に高密度に形成される欠陥により、通常はトレードオフの関係にある高い強度と低い熱伝導率が同時に発現した。この特異な特徴をいかして、機械的強度が優れた断熱材料や熱電材料といった機能性材料への応用が期待できる。
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