研究課題/領域番号 |
20K21171
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 美智雄 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 教授 (30281116)
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研究分担者 |
蔡 徳七 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (20273732)
Dino Wilson 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60379146)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | キラリティー選択 / キラル分子-表面相互作用 / 配向分子ビーム |
研究開始時の研究の概要 |
キラル分子とキラル表面との相互作用を解明する。キラル表面であるCu(531)R面とCu(531)S面は1枚の板状試料の表裏面として準備出来るため同一条件下での比較実験が可能となる。この表面にキラル分子であるR-およびS-2-ブタノールを低温条件下で吸着させ、吸着状態を調査比較する。また、配向分子ビームを用いてキラリティーの選択性の解明を行う。R-2-ブタノールとS-2-ブタノールを分子ビームとして発生し、Cu(531)R,S面に、表面に衝突する分子配向まで制御して入射する。分子のキラリティーおよび分子配向に依存した相互作用の違いによるキラリティー選択のダイナミクスを解明する。
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研究実績の概要 |
不斉中心を持つキラル分子には鏡像異性体が存在し、両者の物理化学的性質はほぼ等しい。しかし、生体系などでは、鏡像異性体のうち一方のみから構成される という「ホモキラリティー」という重要な問題があり、その起源に大きな興味かがもたれている。本研究では、キラリティーを有する固体表面を用いて、キラルな分子とのわずかな相互作用の違いを増幅検出し、固体表面によるキラル分子の選別の可能性を探ることが目的である。本年度は、キラル分子とキラル表面との相互作用解明についての研究を昨年度に引き続き行った。キラル表面であるCu(531)R面とCu(531)S面は1枚の板状試料の表裏面として準備出来るため同一条件下での比較実験が可能となる。どちらの面がR面であるか、S面であるかを決定するために昨年度に引き続き、低速電子回折(LEED)と走査型トンネル顕微鏡(STM)で清浄表面の観察を行った。昨年度まではLEEDでは鋭い(531)表面の回折スポット像が得られたが、STMではまだR、Sを決定できるほどの原子像は得られていなかった。本年度は色々条件を変えてトライして原子像を得ることに成功し、R、S面を決定した。さらに、この(531)表面にR-およびS-2-ブタノールを吸着させてSTM像を観察し違いを見る実験を行う準備を行なった。また、キラル分子ビームの発生については、昨年度に引き続き、装置の調整を行なった。こちらは研究分担者と一緒に装置の調整並びにシミュレーションを行なった。次年度にキラル分子のビームを発生し量子状態選別できる予定である。別のアプローチとして研究分担者と一緒に、銅合金表面において、酸素分子の回転運動のキラリティー効果を明らかにするため、理論的アプローチを含めて昨年度に引き続き進めた。また、研究分担者が、気相における反応においてもキラリティー効果を解明する研究を前年度に続き進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では、令和2年度内にキラル表面であるCu(531)R面とCu(531)S面の表面にキラル分子であるR-およびS-2-ブタノールを低温条件下で吸着させ、吸着状態 を低速電子回折(LEED)、昇温脱離法(TDS)、反射赤外吸収分光法(IRAS)により調べ、また令和3年度中に配向分子線による研究を推進する予定であったが、実験装置設置場所の建屋の改修工事終了時期がコロナ禍の影響のため結局2年あまり延期となってしまい、令和3年10月にやっと装置の移設と設置が始まり、その後令和4年4月以降にやっと通電が安定してできるようになり、配向分子ビームが発生できるようになっているものの、予想以上に装置調整に時間がかかっている。本年度も実験可能な走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた研究を中心に行なった。昨年度までは、LEEDでは鋭い回折パターンが得られているもののSTMではまだ原子像が得られていなかった。本年度は試行錯誤を続けて、原子像を得ることに成功し、(531)表面のRおよびS面を決定できた。ゆっくりと研究は進んでいるものの全体として遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験装置設置場所の建屋の改修工事がコロナ禍で遅れに遅れ、令和3年10月に完了したので、そこから装置を立ち上げて、令和6年3月現在も、装置の調整を鋭意進めている状況である。令和6年度は、引き続き装置の調整を進め、キラル表面であるCu(531)R面とCu(531)S面の表面にキラル分子であるR-およびS-2-ブタノールを低温条件下で吸着させ、吸着状態を低速電子回折(LEED)、昇温脱離法(TDS)、反射赤外吸収分光法(IRAS)により調べる。また、走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて吸着状態を調査する研究は継続する。STM測定の補助として積極的に、理論計算によるシミュレーションを取り入れて研究計画における効率的な推進を継続する。配向分子ビームを用いた研究の準備として、軌道シミュレーションや気相における反応のキラリティー効果についても継続して進める。
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