研究課題/領域番号 |
20K21180
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
荒船 竜一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (50360483)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 仕事関数 / 時間分解分光 / ダイナミクス / レーザー / 高分解能 / レーザー光電子分光 / 超高速現象 / 仕事関数測定 / 吸着分子 |
研究開始時の研究の概要 |
固体表面の吸着分子の運動を理解する上で、ボルン近似が成立しない非断熱効果の重要性は広く認識されている。非断熱効果を理解する上で高い時間分解能をもった分析手法の開発は重要である。高い時間分解能をもつ分析法を開拓する上で不確定性関係の「裏をかいて」高い時間とエネルギーの分解能を両立させる実験デザインが重要である。本研究は光電子放出を利用した仕事関数の実時間分割測定からこの両立を実現させる手法の提案・実証を行うものである。仕事関数決定のエネルギー分解能は 励起光の特性によらず電子分析器の性能できまり、時間分解能は励起光のパルス幅で決まるので、時間とエネルギーの高分解能を両立できる。
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研究成果の概要 |
100 fs, 10 meVの時間・エネルギー分解能を有する超高速仕事関数測定システムを構築した。時間分解二光子光電子分光実験を通して、本システムの時間分解能を評価した。その後Xe/Au(111)をモデル試料として実験システムの検証を行った。しかしXe吸着によって仕事関数が変化していることは観測できたものの、レーザー照射によって、仕事関数変化を引き起こすことができなかった。残念ながら現行のシステムに対して適当な時間スケールを持つ仕事関数変化として振る舞う系ではなかった。分子吸着系等より広範な試料系を探索する必要があると共に、より短時間分解能を持つ測定システムの構築が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
固体表面における吸着分子の運動を理解する上で、ボルン近似が成立しない非断熱効果の重要性は広く認識されている。高い時間分解能を持つパルスレーザーを用いた分析手法は強力である。時間分解能 を高めようすると、不確定性原理に由来する励起光のスペクトル幅の広がりが無視できないためである。本研究はこの困難を打破するためのもので、原理実証に成功した。今後さらなル時間分解能の向上を測ることによって、吸着分子系、表面光誘起相転移や表面ポテンシャル変調によるスピン軌道相互作用操作など多様な 系に対して表面ダイナミクスを支配する非断熱効果の本質を追求できるユニークな手法となることが期待される。
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