研究課題/領域番号 |
20K21185
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩本 武明 東北大学, 理学研究科, 教授 (70302081)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | π電子系 / ケイ素 / 単結合 / 反応 / π結合 / 炭素 / 共役 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、π結合のみからなる単結合(π型単結合)を持つ安定なケイ素および炭素化合物を合成し、その分子構造と性質及び反応性を明らかにすることで、π型単結合の特徴を理解することを目的とする。π型単結合は、多重結合に見られるπ結合とは異なりσ結合を伴わない高活性な結合である。本研究ではこのπ型単結合を特異なπ電子系ユニットとして位置付け、新しいπ電子系の化学を発展させる。
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研究実績の概要 |
π型のC-C単結合をもつ化合物の有力な前駆体である2,4-ジシラビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エンの構造異性体、1,4-ジシラブタトリエンを、空気中不安定な化合物として合成単離した。この化合物の合成は、安定ジアルキルシリレンとハロアルケンから多段階で調製された、両端にハロシリル基を持つアセチレンの還元的脱ハロゲン化により達成された。結晶中で、この化合物の不飽和ケイ素-炭素-炭素-ケイ素部分は直線構造を取っていた。またこの部分のケイ素-炭素間および炭素-炭素間の距離はどちらも一般的なケイ素-炭素二重結合および炭素-炭素二重結合距離の範囲内にあった。詳細な理論計算の結果、得られた1,4-ジシラブタトリエンは、目的化合物である2,4-ジシラビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エンよりもエネルギー的に安定であることが求められ、実験結果と矛盾がないことが確かめられた。 また、π型のゲルマニウム-ゲルマニウム単結合をもつと期待される、1,3-ジゲルマ-2,4-ジシラビシクロ[1.1.0]ブタンの合成を、安定ジアルキルシリレンとアリールトリクロロゲルマンとの付加体の還元反応を用いて試みた。その結果、ナトリウムを用いた還元的脱クロロ化により、目的化合物の異性体である(シリル)ジゲルマシラシクロプロペンが生成することを見出した。その分子構造をX線構造解析で確かめた。理論計算の結果、得られた(シリル)ジゲルマシラシクロプロペンは目的化合物よりも安定であることが確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
π型のC-C単結合をもつ化合物の有力な前駆体である、高度に歪んだ炭素-炭素二重結合を持つ2,4-ジシラビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エンの構造異性体、1,4-ジシラブタトリエンの合成に時間を要したが、多段階合成において収率の低かった反応の条件最適化を進めることができた。またゲルマニウム化合物については、ケイ素を用いた場合と異なる生成物が得られているが、これは元素の違いを反映しているものであり、追究する必要があるものである。新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、化合物の合成に用いる薬品や消耗品の調達の遅れの影響はあるが順調に進められていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
高度に歪んだC=C二重結合を持つと期待されるビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エンを、今年度合成した化合物1,4-ジシラブタトリエンの異性化により合成し、その分子構造を明らかにする。1,4-ジシラブタトリエンの両端にあるケイ素-炭素二重結合化合物は光励起により、ジラジカル中間体を生成すると考えられているため、光反応により目的化合物が合成できるものと予測している。更に得られたビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エンの橋頭位炭素上への付加反応によるπ型C-C単結合化合物の合成を進める。特に四塩化炭素を用いた塩素化や単体ヨウ素を用いたヨウ素化等について検討を進める。合成した化合物のX線構造解析による分子構造の解明、各種スペクトルと理論計算を用いた電子状態の解明を行うとともに、種々の試薬との反応を検討し、π型C-C単結合の性質解明を追究する。
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