研究課題/領域番号 |
20K21186
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
市川 淳士 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70184611)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | カルベン / フッ素 / 触媒 / チオフェン / フラン / ジフルオロアルケン / 金 / 有機化学 / ジフルオロアレン / 金属 / トリフルオロメチルアルケン / 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 遷移金属錯体 / 含フッ素有機化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
医農薬から機能性材料にいたる広い分野で有用性を示す有機フッ素化合物は、その合成法の確立が急務である。一方、遷移金属カルベン錯体は合成中間体としての重要性を既に確立しているが、そのフッ素置換体は未開拓のままであった。フッ素置換した遷移金属カルベン錯体は、フッ素置換基の特性である二面性を有する多様な反応性を示すことが期待でき鍵中間体として優れた活性種となり得る。本研究では、ジフルオロメチレン錯体とジフルオロビニリデン錯体、ジフルオロアレニリデン錯体の調製法を確立し、一連のフッ素置換カルベン錯体の特徴を捉えて有機フッ素化合物の触媒的合成反応を開拓する。
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研究成果の概要 |
高効率な有機フッ素化合物合成のための中間体として、フッ素置換遷移金属カルベン錯体を取り上げ、その調製法と利用法を検討した。その結果、金(I)触媒の存在下で1,1-ジフルオロアレンにアルデヒドを作用させると、[3 + 2]付加環化によりフラン骨格を有する金(I)カルベン錯体が生じることを見出した。このカルベン錯体は二つのフッ素により置換されており、β-水素移動と続く脱フッ化水素を経ることで、2-フルオロフランの位置選択的合成法を提供する。遊離ジフルオロカルベンとチオカルボニル化合物との反応も併せて検討し、1,1-ジフルオロアルケンの合成法や、2-フルオロチオフェンの位置選択的合成法を開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フッ素置換遷移金属カルベン錯体の性質には、学術的な観点から興味が持たれていた。しかし実際には調製例自体が少なく、性質は未知であった。本研究課題により、ジフルオロアレンの付加環化でフッ素置換環状金(I)カルベン錯体が調製できること、また、発生した錯体はβ-水素移動を起こすことが明らかになった。また、併せて見出した遊離ジフルオロカルベンの反応性も、これまでに知見が少なく、今後これを配位子として利用する際に重要な情報となる。我々が合成法を確立したフルオロフランやフルオロチオフェン、ジフルオロアルケンは、いずれも生理活性化合物や合成中間体として有用なものであり、今後医農薬開発等の領域に貢献できる。
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