研究課題/領域番号 |
20K21194
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保 孝史 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (60324745)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 炭素-炭素単結合 / 超結合 / 2Å / 共有結合 / ビラジカル / 炭素-炭素結合 / 炭素ー炭素結合 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素原子間に形成される共有結合は、有機化学において最も基本的で重要な概念である。最近、単結合長の限界とされていた1.8Åを超える炭素-炭素単結合を持つ化合物が複数単離され、限界を超えた単結合が示す性質に注目が集まっている。本研究は、2Åを超える炭素-炭素単結合をもつ化合物を創出し、その特殊な結合状態の電子構造の解明と特異な反応性・物性の探索を通じて、有機化合物の新たな可能性を引き出すことを目的とする。その目的を達成するために、本研究では研究を、①長い結合を持つ化合物の基本骨格の確立、②長い結合の電子構造の解明、③長い結合の共役の構築、④長い結合による新現象の探索、の4つの段階にわけ、遂行する。
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研究成果の概要 |
本研究は、炭素-炭素結合の非標準的状態として単結合の長さに注目し、2Åを超える単結合を持つ化合物を創出し、その特殊な結合状態の電子構造の解明と、特異な反応性・物性の探索を通じて、有機化合物の新たな可能性を引き出すことを目的とした。実際に市販のフルオレノンから5段階で2.04Åの単結合を持つ化合物の単離に成功し、各種分光測定や量子化学計算の結果、その長い単結合は共有結合性を十分に有していることが明らかとなった。その他、長い結合間の相互作用を調べる目的で、分子内に2つの長結合を有する二種類の化合物の合成に挑み、その前駆体となるジアニオン種の発生まで成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共有結合は有機化学にとって最も根本的な概念であり、炭素‐炭素単結合は共有結合を理解するにあたって最もシンプルなモデルとなる。その炭素‐炭素単結合の限界点を探ることで共有結合とは何か、何をもってどう判断するか、という学術的問いに答えることができる。その限界点にほぼ達した化合物の単離に成功した本研究は、共有結合性の有無をいかにして調べ、得られた測定結果をどのように解釈するべきかを提示できた点で、学術的に非常に意義深いものであると言える。
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