研究課題/領域番号 |
20K21195
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鳶巣 守 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60403143)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 有機リン触媒 / レドックス / リン触媒 / フッ素化 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属の持つレドックス能は、クロスカップリングをはじめとする触媒機能の源である。本研究の目的は、遷移金属のd電子に由来する機能を典型元素であるリンに担わせることである。リンはpブロック元素ではあるが、5配位状態(ホスホラン)を取りうるので原理的には遷移金属と同様「酸化的付加」、「還元的脱離」過程を促進可能である。このような素過程を利用し、遷移金属を用いた場合には困難とされている炭素-フッ素結合形成型の還元的脱離を経る有機化合物のフッ素化反応を検討する。
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研究成果の概要 |
遷移金属触媒によるクロスカップリング反応は、一般的に、酸化的付加、配位子交換、還元的脱離の素過程を経て反応が進行する。本研究では、同様の触媒サイクルを、リン化学種を触媒として実現することを目指した。その結果、酸フッ化物とアルキンとシリルエノールエーテルとの3成分カップリング反応が、3級ホスフィン触媒により進行することを見出した。本反応では、酸フッ化物とアルキンとホスフィンとの反応によりフルオロホスホラン中間体が生成し、その5価リン種と外部求核剤との間で配位子交換が起こることにより生成物を与えることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、遷移金属のd電子に由来する機能を典型元素であるリンに担わせることができるという可能性を示した。これまで、パラジウム等の貴金属触媒をFeなどの普遍金属触媒に置き換える研究はあったが、典型元素であるリンで代替する研究は成功例がなく、挑戦的かつ波及効果が大きい。さらに、C-F結合を形成する還元的脱離のような遷移金属が苦手とする素過程を促進するなど、遷移金属の代替に留まらず、凌駕する触媒を実現するものである。本研究は典型元素触媒による可逆的レドックス過程という親概念の立証するものであり、遷移金属触媒によるクロスカップリング一般に応用可能な普遍的なものになりうる。
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