研究課題/領域番号 |
20K21211
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
楊井 伸浩 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90649740)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 光物性 / 金属錯体骨格 / 励起三重項 / スピン |
研究開始時の研究の概要 |
分子が光励起されることで生成する励起三重項は室温において大きな電子スピン偏極状態を取ることが可能であるが、そのスピン偏極状態を用いた機能開拓はこれまで十分に行われてこなかった。本研究では、金属錯体骨格中において偏極した光励起三重項の電子スピンを生成し、その偏極状態に基づく新機能創出を目的とする。金属錯体骨格を用いることで色素分子の配置や配列を制御し、励起三重項状態におけるスピンダイナミクスを制御することで、スピン偏極状態を反映した機能の創出を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では分子が光励起されることで生成する励起三重項が室温において大きな電子スピン偏極状態を取ることに着目し、そのスピン偏極状態を用いた機能開拓を目標とした。光励起後にスピン偏極した励起三重項を形成する色素を金属錯体骨格中に配位子およびゲスト分子として導入した。金属錯体骨格中に色素部位を配位子として密に導入した系においては、スピン偏極した励起三重項に加え、偏極したラジカルの生成にも成功した。ゲストとして色素分子を金属錯体骨格のナノ細孔に導入した系においては、三重項電子スピンから薬物分子の核スピンへと偏極を移行することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン偏極した励起三重項はこれまでの研究では材料などの評価手段として主に用いられてきたが、本研究ではスピン偏極した励起三重項のポテンシャルを最大限に引き出すことで機能創出に繋げることを試みた。金属錯体骨格中において色素分子の配列を精密に制御することにより、偏極した三重項に加えてラジカルを発生できることを見出し、これは室温における新しい偏極電子スピン生成法として有用であると考えられる。また、三重項電子スピンの偏極をモデル薬物分子の核スピンへと移すことにも成功し、今後の多様な生体分子や薬物分子の高感度NMR, MRI観測に繋がる重要な知見が得られた。
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