研究課題/領域番号 |
20K21214
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
猪熊 泰英 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80555566)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ポリケトン / 大環状化合物 / 歪み化合物 / 張力 / ポルフィリン / 歪みエネルギー / カリックスアレーン / 分子ひも / 化学反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、化学反応によって長さが短縮できる分子ひもを使って化学反応から張力を生み出す分子を作り出す。原子間力顕微鏡(AFM)やプローブ色素分子を用いて張力を測定し、さらに、新しい化学反応における結合の切断や組み替えに用いる。 分子ひもには、3,3-ジアルキルペンタン-2,4-ジオンの重合によって得られるポリケトンを用い、この化合物が分子内の縮合反応によってフランやピロール環を生成する際に鎖長が短縮されることを張力発生のしくみとする。張力の測定には、張力歪みによって色が変化する有機色素やAFMによる直接測定を用いる。さらに安定な化学結合に張力をかけることで、結合の切断反応などを行う。
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研究成果の概要 |
アセチルアセトン誘導体を繰り返し単位とする単分散ポリケトンを用いて環状のポリケトン構造を作り出し、続くPaalーKnorrヘテロ芳香環形成反応によって”張力”に相当する環歪みエネルギーを持ったポルフィリン類縁体環状化合物を作り出すことに成功した。Calix[3]pyrroleと称されるこのポルフィリン類縁体では、酸性条件下において張力をエネルギー源とする「歪み誘起環拡大反応」が起こることを発見し、高次Calixpyrrole類の新たな合成経路の発見にも繋がった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子ひもの張力が引き出す新しい化学反応として、ポリケトン分子ひもから合成されたCalix[3]pyrroleおよびその類縁体の歪み誘起環拡大反応を発見するに至った。この反応によって得られる高次Calix[n]pyrrole化合物は、アニオンの捕捉を通してイオン交換樹脂やセンサーなど様々な応用用途が知られている有益な大環状化合物である。本研究における張力を発現する分子ひもから得られた発見は、そのようなアニオン捕捉分子を高選択的かる効率的に合成する手法の確立に繋がったと考えられる。
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