研究課題/領域番号 |
20K21229
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
上木 岳士 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (00557415)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | イオン液体 / 幹細胞 / メカノバイオロジー / 界面 / 液液相分離 / 高分子ゲル / ヒト間葉系幹細胞 / イオンゲル / AFM / レオロジー / ゲル / 分化誘導 / 細胞培養 / 疎水性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、究極の「柔らかい」環境である液体表面での細胞培養や幹細胞の分化誘導が注目を集めている。従来は高比重で水と混ざらないフッ素系液体や液体状態の高分子化合物がこの目的に用いられてきたが、本研究では水と混ざらない、特殊な溶融状態の塩(イオン液体)の表面を分化誘導場として利用する。ヒト細胞(250種類超)の中でも幹細胞からの分化方法が十分に確立しているものの数はごく限られており、その原因の一つに細胞周辺の力学環境制御の困難さが挙げられている。本研究では豊富な化学構造の選択肢を持つイオン液体表面での幹細胞研究を通し、細胞の発生や分化に及ぼす足場の力学的、化学的成分の効果や寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
細胞毒性を示さない、疎水性のアルキルホスフォニウム系イオン液体(APILs)と水が形成する液|液界面における細胞培養系を確立した。液体界面における細胞培養は古くからフッ素系液体、PDMS等を用いた系が検討されてきた。しかしこうした液体基材は化学構造の選択肢に乏しく、細胞の接着を支持するタンパクナノレイヤー(PNL)の力学特性と液体基材の物性相関や細胞動態との関係が不明瞭だった。本研究では様々な構造設計可能性を持つAPILsをサブフェーズとして用い、PNL特性と液体物性との相関を明確にした。さらに水と混ざらないが極性が高いILsの特性を活かし高分子と複合化した細胞足場イオンゲル材料を提案した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界最速で高齢化が進む我が国で幹細胞を用いる再生医療技術の確立は不可欠である。(イオン)液体が有する可変形性を活かすことで液体を分散させたエマルジョン培養系が実現できれば、プラスティックディッシュを用いた従来の二次元培養系と比べて有用な幹細胞資源の培養効率を圧倒的に引き上げられる。特に蒸気圧を持たないイオン液体は使用後に水洗、真空乾燥、乾熱滅菌も可能でリユース可能な環境に優しい液体足場としての利用可能性も広がる。基礎学術の面でも液|液界面へのタンパク質の吸着現象は食品・化粧品・農産物等の加工や生産、保存に係わる重要な現象であり今後、大きな展開が見込まれる。
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