研究課題/領域番号 |
20K21232
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡 大地 東北大学, 理学研究科, 助教 (20756514)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | オキシハライド / エピタキシー / ミスト化学気相成長 / 光エネルギー変換 / 半導体 / 光電変換 / ミストCVD / 複合アニオン / 太陽電池 |
研究開始時の研究の概要 |
溶液プロセスで簡便に作成できる有機系太陽電池の研究が盛んである。近年、より化学的に安定な無機ハライド半導体を用いる試みが始まったが、変換効率は低い値にとどまっている。ガラス基板上に形成される素子の機能層界面は非常に粗いため、効率低下の原因に関して正確な議論ができていない。本研究では特に高い安定性が期待できる複合アニオン酸化物オキシハライド半導体を対象に、単結晶性の高品質薄膜を用いた正確な物性・界面状態評価に基づき、太陽電池への応用可能性を検証する。無機化合物の高い電気伝導性を活用することができれば、安定性だけでなく効率の飛躍的な向上につながると期待される。
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研究成果の概要 |
簡便な溶液プロセスであるミスト化学気相成長法を活用し、光エネルギー変換応用が期待されるビスマスオキシハライドの高品質な単結晶性薄膜を合成することに初めて成功した。放射光を用いた精密な構造解析の結果、酸素欠損が極めて局所的な格子歪みを生じることが分かった。さらに、電気化学測定によってビスマスオキシハライドの内部量子収率を初めて決定し、酸素欠損は可視光域における外部量子収率を効果的に向上させることを明らかにした。より高い変換効率を示す材料を探索するための技術として、硫黄の導入によりアニオンを3種含む複雑な組成の複合アニオン化合物のエピタキシャル合成手法の開発にも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オキシハライドをはじめとする複合アニオン化合物は多様なアニオン組成に基づき、バンド構造や物理特性を柔軟に制御できる新材料として近年注目されている。多くのアニオン性元素は蒸気圧が高いため、従来の半導体薄膜合成に用いられる真空蒸着法での薄膜合成が困難だったが、本研究の推進により複合アニオン化合物の高品質薄膜を簡便な溶液プロセスで合成できることが実証された。また、これまでの粉体の研究では未解明だった酸素欠損が構造や光エネルギー変換特性に与える影響が定量的に評価されたことから、太陽電池をはじめとする積層素子に活用できる新材料を化学組成制御に基づいて開発するための指針が得られた。
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