研究課題/領域番号 |
20K21248
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大神田 淳子 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (50233052)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | KRas / 脂質修飾 / dual阻害剤 / ペプチドミメティクス / たんぱく質間相互作用 / 中分子 / ファルネシル転移酵素 / ゲラニルゲラニル転移酵素 / 2座型化合物 / 抗がん剤 / 翻訳後脂質修飾酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
難治がん医療の進展は現代社会に生きる我々の切実な願いである。本研究では、難治がん因子のK-Rasの特奇な脂質翻訳後修飾に着目し、これに関わるFTaseとGGTase Iに対するdual阻害剤を、K-Ras C端の天然非構造領域(IDP)の化学構造に基づいた合理設計により創出する。K-RasのCVIM部分の模倣には、最近申請者が開発に成功したピペリジン含有擬似ペプチドを用いる。生物実験によりK-Ras脂質修飾および増殖シグナルに対する化合物の阻害活性を検証し、新規作用機序に基づくK-Ras標的型抗がん剤の開発ならびにIDPのたんぱく質間相互作用(PPIs)を標的とする阻害剤戦略の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
進行性KRas変異がんに対する効果的な治療薬の開発が望まれている。本研究では、KRasの活性化に必須な脂質修飾に着目し、KRasと修飾酵素間のたんぱく質間相互作用の作用面と活性サイトを1分子認識する中分子化合物を、修飾酵素とのドッキング計算による合理設計に基づいて有機合成化学的に調製した。また種々の類縁体を調整しKRasのC末端の脂質修飾阻害を指標とした構造―活性相関研究を実施した結果、KRasのファルネシル化およびゲラニルゲラニル化を低nMで阻害し癌細胞の増殖を抑制する新規化合物を見出すことに成功した。以上の結果はKRas脂質修飾阻害剤設計に新たな指針を提供しうるものと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
進行性難治がんであるKRas変異がんは国内のがん患者数の約20%を占めると推測されており、効果的な治療薬の開発が望まれている。最近認可されたKRasコバレント阻害剤は適用範囲が限られており、新たな切り口による分子戦略が求められている。本研究のコンセプトはKRasそのものを標的とする従来の創薬戦略と異なりKRasの脂質修飾に関わるたんぱく質間相互作用を標的とする点で独自性があるうえ、本研究により既存の阻害剤を凌駕する高活性化合物が得られた成果は、KRas標的型抗がん剤の新たな設計指針を提案し進行性難治癌医療の発展に資する知見を提供するものと考えられる点で学術的および社会的な意義がある。
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