研究課題/領域番号 |
20K21270
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北 将樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30335012)
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研究分担者 |
森田 真布 名古屋大学, 附属菅島臨海実験所, 助教 (30865184)
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 食虫動物 / トガリネズミ / 忌避物質 / 化学進化生態学 |
研究開始時の研究の概要 |
トガリネズミは唾液に毒を持つ珍しい哺乳類であるが、その筋肉組織には昆虫忌避物質が含まれ、また臭腺には大型哺乳類を忌避させる匂い物質が含まれると示唆される。危険を察すると相手を忌避させる物質を放出する動物は多いが、個体の死後まで忌避作用が継続することは珍しい。そこで本研究ではトガリネズミ由来の被食、補食に関わる新奇生理活性物質を解明し、トガリネズミ科の適応進化における匂い物質の役割を理解することを目指す。本研究の進展は、環境負荷の少ない防虫剤や、鳥獣被害が深刻なイノシシ・クマ避け剤など、新規有用物質の創製につながると期待される。
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研究成果の概要 |
トガリネズミは唾液に毒を持つ珍しい哺乳類であるが、その筋肉組織には昆虫忌避物質が、また臭腺には大型哺乳類を忌避させる匂い物質が含まれるとされる。本研究ではトガリネズミ由来の被食、補食に関わる新規機能性物質を発見し、適応進化における役割を理解することを目指した。唾液腺抽出物の酵素活性を評価し、カリクレイン・プラスミン・トロンビンなど血液凝固などに関わるセリンプロテアーゼ様の活性を確認した。また臭線に含まれる揮発性成分をGC-MS法などで解析し、麝香臭物質として知られる大環状ラクトンを同定した。今後、同定した化合物を合成して活性を確認し、その生理的な機能の解明を目指す予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
様々な捕食動物のいる過酷な環境にて、小型の哺乳類であるトガリネズミ類はどのように生き延び、独自に進化してきたのか、進化生態学の観点からも大変興味深い。また微量・不安定物質の解析技術が進展した今、世界に先駆けて野生動物の極微量の生理活性物質に挑戦することは高い意義がある。生態学、進化生物学など関連諸分野とも連携して化合物の機能を解明し、長期的には生態系の理解や保全につながる研究への展開が期待される。また本研究の進展により化学合成品と比較しても環境負荷の少ない防虫剤や、鳥獣被害が深刻なイノシシ・熊避け剤など新規有用物質の創製が期待される点で、社会的意義も高い。
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