研究課題/領域番号 |
20K21293
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高橋 恭子 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70366574)
|
研究分担者 |
松藤 寛 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70287605)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 腸内細菌 / γ-アミノ酪酸 / 腸管上皮細胞 / 腸管 |
研究開始時の研究の概要 |
γ-アミノ酪酸(GABA)は、脳に発現するGABA受容体を介して作用し、精神安定作用を示すことが知られている。しかし、GABAは抑制性の神経伝達物質としてのみならず多彩な生理作用を示し、それらすべてを従来の機構のみで説明するのは困難である。一方で、特定の腸内細菌はGABA産生能を有し、また、脳と腸が密接に影響し合う脳腸相関が近年注目されている。本研究では腸管内のGABAに焦点を当て、腸管上皮を作用点とした新しい機能発現メカニズムを明らかにすることを目指す。さらに、腸内細菌叢への介入による腸管内GABA濃度の制御について検討する。
|
研究成果の概要 |
本研究では、腸管内γ-アミノ酪酸(GABA)の生理機能と作用機序の解明を目的とした。マウスへのビフィズス菌株投与により、腸内細菌叢の構成が変化し、腸管内GABA濃度の上昇、不安様行動の低下など行動特性の変化が誘導された。一方、血中のGABAおよびコルチゾール濃度には顕著な変化が認められなかった。さらに、マウス腸管より単離された菌株から高いGABA産生能を有する株が同定された。また、腸管上皮細胞にGABA受容体が発現し、GABA刺激により細胞内シグナル伝達が惹起されることが示された。したがって、腸管内GABAの作用機序として、腸管上皮細胞に発現する受容体を介する新たな機構の存在が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、腸管内GABAに着目することにより、GABAの新規な機能発現メカニズムの可能性を示したものである。したがって、GABAの生理作用についてこれまでと異なる概念を確立し、脳腸相関の新たな側面を解明することにつながることが期待される。また、腸内細菌叢と腸管内GABA濃度の相関が示されたこと、腸内細菌叢と精神・神経疾患との関係が注目されていることから、腸内細菌叢への介入により、腸管GABAのコントロールを介した疾患の予防や治療への応用の道が拓かれることが期待される。
|