研究課題/領域番号 |
20K21294
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小山内 崇 明治大学, 農学部, 専任准教授 (60512316)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | クエン酸回路 / シアノバクテリア / TCA回路 / 生化学 / 酵素 / 代謝 / オキサロ酢酸 / 代謝再構成 / 代謝酵素 / アセチルCoA / 合成生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、細胞内の代謝に非酵素的な反応が存在することを明らかにする。細胞内の代謝は、酵素によって常温常圧においても反応が進む。中心代謝では酵素の多くが同定され、酵素反応を基盤とする代謝地図が完成した。しかし、申請者が代謝工学を進める過程で、酵素反応だけでは説明がつかない結果が得られてきた。 そこで申請者は、細胞内で非酵素的な反応が起こっているとの仮説に至り、本研究において検証する。中心となる代謝は、シアノバクテリアのピルビン酸代謝とクエン酸回路である。この代謝の中に非酵素的な反応があると仮定し、その存在を明らかにする。特にオキサロ酢酸に着目し、非酵素的な反応を含む新しい代謝地図を作成する。
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研究成果の概要 |
シネコシスティスのクエン酸回路において、pHによって方向性が変わることが示唆され、通常の生物とは異なる代謝経路が存在することが分かった。リンゴ酸デヒドロゲナーゼの活性が弱いことから、クエン酸回路は通常通りに働かない可能性が示唆された。マリックエンザイムがリンゴ酸代謝に関与し、活性が高いことが明らかになり、マリックエンザイム遺伝子の欠損によってリンゴ酸の蓄積が増加することが確認された。また、シアニディオシゾンメローラにおいても、酵素特性が明らかにされ、シアノバクテリアとは異なる高い酵素活性が示された。このように、微細藻類の一次代謝でも、異なる特性や独自の経路が存在することが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
シネコシスティスのクエン酸回路を中心に、複数の酵素を用いたin vitroの代謝再構成の実験が有効であることを示した。また、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの生化学解析結果をもとに、シネコシスティスのクエン酸回路の特殊性を明らかにして、新しい代謝経路を発見した。この経路は、シネコシスティスのみならず、シアノバクテリア一般の経路であることも生化学的に示しており、代謝における高い保存性のある成果を得ることができた。また、真核微細藻類であるシアニディオシゾンメローラなどの酵素特性と比較すると、同じ微細藻類でも性質が異なることがわかった。このように、光合成生物の炭素代謝において、新しい視点を得ることができた。
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