研究課題/領域番号 |
20K21324
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 晶 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (70396307)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | 生分解性ポリマー / ポリヒドロキシアルカン酸 / ポリヒドロキシブチレート / 分解酵素 / 異種細胞発現 / 組換え酵素 / ポリヒドロキシ酪酸 / ポリヒドロキシ酪酸分解酵素 / 真菌 / PHB分解酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
20世紀以降に爆発的に普及した石油系プラスチックは、地球規模の諸問題の要因となることが指摘されており、代替素材として生分解性ポリマーのポリヒドロキシ酪酸(PHB)とその類縁化合物の利用が注目されている。既にこれらの大量生産は開始されており、その需要は高まっていくと考えられるが、自然界のPHB分解能力は無限ではない。そのため、生分解性ポリマーを分解するための酵素についての研究を進め、分解能力に優れた酵素の持続的かつ安価に供給するためのシステムの構築が重要となる。本研究では、海砂から単離したPHB分解真菌が生産するPHB分解酵素の科学的な解明と同酵素の効率的な異種細胞発現系の確立を目指す。
|
研究成果の概要 |
石油系プラスチックの代替素材として、生分解性ポリマーである3-ヒドロキシ酪酸(3HB)のポリエステルのポリヒドロキシ酪酸や3HBと3-ヒドロキシヘキサン(3HH)の共重合ポリエステルのPHBHがある。本研究では、PHBを唯一炭素源として増殖可能な新奇の真菌SEA-51株を海砂から単離し、そのPHB分解酵素が少なくとも2種類のタンパク質の重合体であることを明らかにした。さらに、それらのうち1つのタンパク質がPHBおよびPHBH分解を担うことを見出した。また、昆虫細胞を用いて活性をもつ組換え分解酵素の分泌発現系を構築し、それによって得られる酵素が天然のものと同等の活性をもつことを示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、PHB(H)を素材とする生分解性プラスチックの生産と需要が年々増大している。これらが自然界に流出すると、生物による分解が期待されるものの、地球上の生物がもつ分解能力は無限ではない。分解能力を超えた場合には、石油系プラスチックと同様の問題や生態系にネガティブな影響を与えると考えられる。そのような問題が生じる前に、優れた分解能をもつPHB(H)分解酵素を探索し、組換え酵素として選択的かつ大量に生産する技術開発が重要となる。本研究では、活性型PHB(H)分解酵素の分泌発現系の構築に成功した。このように、将来懸念される課題の解決に貢献する基盤技術の構築に成功した意義は大きい。
|