研究課題/領域番号 |
20K21326
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 展弘 東京大学, 大気海洋研究所, 技術専門職員 (30626536)
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研究分担者 |
伯耆 匠二 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10809354)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マイクロプラスチック / アサリ / 水産無脊椎動物 / 摂餌生態 / 電子顕微鏡 / ナノプラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
マイクロプラスチックのもつ「生物学的難分解性」と「高い有害化学物質の吸着能」は将来の海洋生態系に大きな影響を与える可能性がある。本研究は二枚貝の摂餌行動によりマイクロサイズのプラスチックが破壊され、より危険度の高い可能性があるナノプラスチックを生み出している可能性を検証するものである。本研究課題では沿岸域に広く生息するアサリを材料にマイクロプラスチックを珪藻とともに摂餌させる室内実験をおこなう。その摂食行動によりマイクロプラスチックからナノサイズのプラスチックが生成されている証明を試みるとともに生体内での動態を解剖学的に解明を試みる。
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研究成果の概要 |
海洋マイクロプラスチックによる海洋汚染が大きな社会的関心を集め、近年では多くの海洋生物による誤飲や生体への影響も評価されつつある。しかし体内に取り込まれた後の挙動に関しては技術的な問題から摂餌行動による微細化の可能性など不明な点が多く残されたままになっていた。本研究ではアサリを材料に体内での挙動について組織化学的にその解明を試みた。その結果、アサリは誤飲するマイクロプラスチックのサイズ依存的に取り込む臓器が異なることが示された。特にナノサイズのプラスチックは細胞レベルの消化吸収に関与することから栄養吸収に影響を与える可能性が示された。また、胃でマイクロプラスチックを破砕できる可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の完遂によってはじめて、マイクロプラスチックの発生源である沿岸域に生息する海洋生物、特にアサリという歯を持たない濾過食者の摂餌行動であってもマイクロプラスチックがナノ化する可能性があることが示された。理論的には物質は細粒化されるほど有害化学物質の吸着能が高くなる。つまり海洋生物に与える有害性を飛躍的に増大する危険性を孕んでいるといえる。また、マイクロプラスチックの体内動態も明らかになり、海洋汚染による影響評価が高精度に実施できるようになる。今後、マイクロプラスチックの有害性が再認識され、ナノプラスチックによる海洋生態系の影響がより正確に把握されるように展開されることが期待できる。
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