研究課題/領域番号 |
20K21327
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
半 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40627709)
|
研究分担者 |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 放射柔細胞 / 細胞老化 / 心材形成 / スギ |
研究開始時の研究の概要 |
心材とは、樹幹内方に位置する濃色の部位であり、腐朽耐性が高くすべての細胞が死滅しており、樹木の幹を長年維持することに役立つ。心材のもつ腐朽耐性は、木質資源の利用上極めて重要な特性である。心材形成機構の解明を通じて心材の量や性質を制御できれば、薬剤による防腐処理を必要とせず環境負荷を抑えた高腐朽耐性の木質資源を創出することが可能となる。本研究では、「放射柔細胞が寿命を迎え死に至ることが心材形成の引き金である」という仮説を立証することを最終目標とし、放射柔細胞の老化過程において特徴的な細胞学的変化および遺伝子発現の変動および放射柔細胞の老化に影響を与え得る因子を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究期間では、新型コロナウイルス感染拡大により、試料採取が2023年まで実施することができなかったため、前半は解析の準備段階として、切片SEM観察法によるスギの辺材中での放射柔細胞の細胞小器官の放射方向における変化の解析を実施し、辺材中での細胞小器官の変化について明らかにした。2023年度は、肥大成長速度に着目して放射柔細胞の生存率を解析した結果、成長の悪い個体は成長の良い個体よりも辺心材境界近くまで生存率やデンプン貯蔵機能を保つと考えられること、を明らかにした。放射柔細胞の老化に特徴的な変化を抽出するに至らなかったが、放射柔細胞の細胞死制御機構について新たな知見を得ることができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
再生可能資源の中でも木質バイオマスは、カーボンニュートラルという優れた特性を有していることから、循環型炭素資源として期待されている。樹木特有の長命細胞である放射柔細胞の細胞死の制御機構を明らかにすることは、木質バイオマスの利用において重要な特性である心材の量や質の人為的なコントロールを可能とする。本研究の成果は、心材の特性を制御した高機能性樹木を創出する基盤技術の開発に向けて重要な知見を与え、化石資源に依存しない持続可能な循環型社会を構築する上で必要不可欠な木質バイオマスの高度有効利用の促進に貢献する。
|