研究課題/領域番号 |
20K21328
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
山本 洋嗣 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10447592)
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研究分担者 |
Strussmann C.A. 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (10231052)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 環境ストレス / 海洋汚染物質 / 耳石 / 元素含有量 / トウゴロウイワシ / 微量元素 / 沿岸性魚類 / 指標生物 |
研究開始時の研究の概要 |
人間活動由来の様々な環境ストレスが海洋生物に悪影響を与えることが危惧されているが、魚類では未だ正確な環境影響評価技術の開発には至っていない。そこで本研究では、魚類耳石を用いた環境影響評価技術の確立を目指す。耳石には、環境水中あるいは生体内の微量元素を取り込み伸長・増大するという特性がある。もし、各種環境ストレスの強弱と耳石に取り込まれる元素量の増減に相関関係があれば、耳石の年齢形質と微量元素の組成変化を組み合わせることで、野生個体が経験した環境ストレス暴露情報を追跡することが可能となる。本研究では、沿岸性魚類を様々な人為的環境ストレスに暴露し、耳石の微量元素量変動との因果関係を調査する。
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研究成果の概要 |
本研究では、トウゴロウイワシをモデルとし、耳石を用いた魚類の環境汚染物質暴露評価技術の可能性を探った。境汚染物質として、塩化トリブチルスズ(TBT)と紫外線吸収剤UV-Pを用い、トウゴロウイワシ稚魚を濃度の異なるTBT溶液とUV-P溶液にそれぞれ曝露した。曝露期間終了後、電子線プローブマイクロアナライザーを用い、耳石微量元素を測定した。TBT暴露試験区では、KおよびNaで濃度依存的な上昇傾向が認められた。対して、UV-Pを用いた曝露試験では、KおよびNaで濃度依存的な減少傾向が認められた。以上の結果より、環境汚染物質の種類によって、耳石微量元素の変動パターンに特徴がある可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
魚類の耳石は年齢査定に利用されることが多いが、本課題では耳石輪紋の中に時系列に蓄積される微量元素量変動と各種環境汚染物質曝露の因果関係を調査することで、野生魚が経験した汚染物質暴露情報の抽出技術開発を目指した。本研究により、特定の汚染物質に対して耳石内の各種元素が特徴的に増減する可能性が示され、より多くの環境汚染物質やその他環境ストレスと耳石の元素変動の因果関係を調査することで、野生魚の汚染物質曝露情報を抽出可能であることが示された。魚類の食資源としての安全・安心な利用のためには、種々の環境汚染物質が魚類に与える様々な悪影響の評価技術の確立が急務であり、本課題はその実現に寄与する。
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