研究課題/領域番号 |
20K21331
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
野中 寛 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (90422881)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 木粉 / HPMC / クエン酸 / 湿式押出成形 / 中空成形 / ブロー成形 / バイオマス / プラスチック代替 / バイオプラスチック / ボトル |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は,木粉,竹粉,紙粉などを,セルロース系増粘剤,水と混練して粘土状素材を調製し,チューブ状に押出成形するシーズ技術を有する。これを空気注入により膨らませ,その状態で固めることができれば,原理上木や紙の中空成形が可能となり,ボトル成形が可能となる。本研究では,この粘土状素材に空気を注入したとき,風船ガムのように膨らむ柔軟性とその際破れない強度を有し,乾燥により保形し,かつ,亀裂やピンホールが生じない素材,添加剤,乾燥方法等を探索し,プラ製ボトルを天然素材に置き換えることに挑戦する。
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研究実績の概要 |
研究代表者は,木粉,竹粉,紙粉などをセルロース系増粘剤と水を混練し,押出成形により成形ができる「オールバイオマス素材」の開発を進めてきた。この素材は水を可塑剤とする粘土状素材であり,常温で押し出すことができ,乾燥により成形品が出来上がる。押出成形後,空気の注入で膨らみ,その状態で固めることができれば,原理上木や紙の中空成形が可能となる。本年度は,柔軟剤としてグリセリンを加えて,「オールバイオマス素材」に柔軟性を付与することを検討した。所定の比率で,木粉,セルロース系増粘剤,グリセリン,水を混合・混練し,真空混練押出機を用いて,シートを巻取り成形することに成功した。得られたシートの引張試験を行ったところ,グリセリンの添加量増大とともに伸びが大きくなったが,同時に引張強度が低下する関係を見出した。 このオールバイオマス素材の大きな弱点は,乾燥後の成形品を水に浸漬すると速やかに吸水し,崩壊することであった。素材調製時にクエン酸を添加し,加熱架橋することにより,成形品の崩壊性を制御することに成功し,水中で1日以上耐える成形品を作ることに成功した。この研究成果は画期的であり,すぐに論文化し,すでに発刊済みである(Tao and Nonaka, Bioresouces,16(2), 2314-2325(2021))。これにより,柔軟な素材を膨らまし,その状態で加熱により乾燥かつ架橋を進行させることにより,水中で容易に崩壊しない中空成形品を作ることができる可能性が見えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オールバイオマス素材の柔軟剤として,グリセリンが機能することを見出し,クエン酸の添加により加熱・架橋させることに成功し,水中で容易に崩壊しない成形品を創り出すことに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
オールバイオマス素材の柔軟剤として,グリセリン以外にカテキンなどを試す。水の代わりにお茶を使うことを検討する。柔軟性を発現する水分量の探索を行う。空気の吹き込み試験による「膨らむ」素材の探索にも着手する。風船ガムに使われている素材を参考に,添加剤の選定を進める。
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