研究課題/領域番号 |
20K21337
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鬼倉 徳雄 九州大学, 農学研究院, 教授 (50403936)
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研究分担者 |
小山 彰彦 九州大学, 農学研究院, 助教 (50814662)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 塩分 / エコトーン / 地中間隙水 / ベントス / ヨシ / 間隙水 / 汽水 / 緩衝水塊 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、背後地に森林を持つ砂浜の低潮帯付近の地中に、塩分が安定した汽水環境(陸域・水域緩衝水域と称す)が形成されていることを、偶然、突き止めた。そして、その現象は一般的に知られている海岸部の地下水の塩水の挙動では説明できない現象であることが明らかであった。そこで、陸域・水域緩衝水域が形成されやすい条件を特定するために、陸域の条件、水域の条件が異なる様々な立地において、塩分・水温の連続観測を実施するとともに、底生動物調査を行い、緩衝水域が水産生物や希少水生生物の個体群維持に貢献することを明らかにする。
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研究成果の概要 |
最初に、陸と海の境界部の地中浅所に、塩分が安定した水域が形成されることを明示し、その形成条件を特定した。背後地が山林である場所、背後地が平野である場所とも、表層水の塩分は潮の干満に伴い変動するのに対し、間隙水は低塩分で安定した。表層水は潮汐と降水量に左右された一方、間隙水塩分は潮汐に左右されず、安定的であった。また、山側の間隙水は降水量にも左右されていなかった。 干潟のベントス相は、山側、平野側に相違があり、特に、ヨシが山側だけに生育し、種多様性も高かった。間隙水の低い塩分がヨシの生育を支え、結果として、ヨシ帯に依存する生物等が生息することで、高い種多様性を示すと推察できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、陸域と海域の境界部、すなわち、エコトーン部の地中浅所には、塩分濃度が 安定した汽水域(陸域・海域緩衝水域)が形成されることが明示でき、その緩衝水域の塩分は、背後地の相違により異なることが明確となった。そして、その塩分の相違が異なる生物相を生み出すことで、広域での種多様性を高めていると結論される。これらの研究成果は、学術的意義だけでなく、実学的な貢献度が極めて大きい。例えば、近年各地で行われているヨシ原の自然再生を行う際の候補地選定に有益な知見を提供できる。また、海岸線の開発工事の際、本研究成果を参考に、広域での種多様性に配慮した計画立案することが望まれる。
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