研究課題/領域番号 |
20K21338
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
智和 正明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (30380554)
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研究分担者 |
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | シカ / ナトリウム / 草食動物 / 植食動物 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,日本ではニホンジカの個体数が急増し,農林業被害は甚大であるが,解決の見通しが立っていないのが現状である.本研究は,シカを含む植食動物はナトリウム不足になりやすいことに着目し,1) シカはナトリウム不足になりやすいのか?,2) シカはナトリウムをどこから得ているのか?という問いに答えることを目的とする.北海道東部の山林(九州大学北海道演習林)において,ナトリウムを林床に人為的に与える操作実験や植物,土壌などの環境中のナトリウムの網羅的計測を行う.本研究でシカがナトリウム不足であることや,シカが得ているナトリウム源を特定できれば,効果的な被害対策や生息地管理に関する指針の提供が期待できる.
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研究実績の概要 |
近年,ニホンジカの個体数が急増している.森林生態系や農林業に多大な被害を及ぼすため,シカの管理は農林業被害対策として緊急の課題である.本研究は,シカにとっての資源としてこれまでほとんど研究されてこなかったナトリウムに着目する.シカを含む植食動物はナトリウム不足になりやすい.これは植物にとってナトリウムは必須元素ではなく,通常は植物中のナトリウム含有量は少ないためである.シカは北海道東部でも爆発的に増加しているが,その潜在的な理由として凍結防止剤や堆肥がナトリウム源となっている可能性がある.しかし,凍結防止剤や堆肥を含め環境中のナトリウム量に関する情報はほとんどない.そこで本研究では,ナトリウムが高濃度で含まれている可能性のある家畜ふん堆肥中の水(以下,堆肥水)や凍結防止剤が散布されている道路上の雪(以下,道路水)中のナトリウム濃度を分析した.堆肥水を北海道道東部において,季節ごとに採取した.比較対照として,近隣の森林の表層土壌水も採取した.道路水は冬季に国道2ヶ所で合計3回採取した.堆肥水中のナトリウム濃度は,季節を問わずほぼ一定で5.7 (±0.8) mMであり,森林土壌水と比較して100倍程度高く,ヌタ場の報告例(0.4-1.8 mM)と同オーダーであった.さらに,道路水中のナトリウム濃度は,変動があるものの,平均で102 (±40) mMであり,塩場の水中ナトリウム濃度の報告例(35 mM)と同オーダーだった.以上のことから,堆肥水や道路水は,シカにとってナトリウム源となりうるほど高濃度であり,堆肥や凍結防止剤が散布されている道路では,人工的なヌタ場や塩場が形成されていることがわかった.
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