研究課題/領域番号 |
20K21339
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
征矢野 清 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (80260735)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 成熟関連フェロモン / 成熟関連ホルモン / 成熟誘導 / 種苗生産技術 / フェロモン / 海産魚類 / 養殖 |
研究開始時の研究の概要 |
フェロモンとは、個体間の情報伝達物質であり、多くの生物において異性誘引や繁殖行動誘起などの因子として知られている。これらのうち、雄から放出されるフェロモンを雌の成熟誘導剤として活用できれば、これまでにない画期的な種苗生産技術を生み出すことができる。しかし、海産魚において成熟関連フェロモンの同定に成功した例はない。そこで、ハタ類を対象魚として、成熟に関連する性ステロイドとその代謝物に焦点を絞り、フェロモン物質の検索・同定・人工合成を行う。本研究は、海産魚の成熟関連フェロモンの役割を解明するための基盤となるとともに、フェロモンを用いた全く新しい発想の種苗生産技術の開発の基盤となる。
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研究成果の概要 |
本研究では、フェロモンを用いた新しい種苗生産技術の開発の基盤形成を目的として、カンモンハタの成熟フェロモンの同定を目指した。本種雄の尿において、成熟期にはパルブアルブミンが特異的に出現することが分かった。しかし、尿中に特異的に出現する遊離アミノ酸は確認できなかった。尿中の脂質分子種を解析したところ、雄の尿に含まれている脂質分子種のうち、特に高濃度で存在し雌で検出されなかった分子種が9種確認された。これはフェロモンの候補と考えられる。また、雄の尿を曝露した雌の嗅上皮のクリプト細胞において、尿に対する陽性反応するが確認され、雌が雄の尿中の匂い物質を感受することが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
魚類の成熟関連フェロモンは、いくつかの魚種で物質の同定が行われているに過ぎない。しかもその物質は構造的に多岐にわたる。本研究は魚類の繁殖において重要な役割を担うフェロモンの機能解明に向けた研究基盤構築としての意義が大きい。また、本研究は雄から放出される成熟関連フェロモンを「産卵を同調させる成熟誘導剤」として活用するというこれまでにない水産養殖技術の開発につながる画期的なアイデアを含んでいる。これが成功すればハタ類の種苗生産の作業効率の軽減と、より健全な種苗の生産に大いに貢献できる。本研究で得られ海産魚類のフェロモンに関する成果は、これらを実現する上で欠くことのできない知見である。
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