研究課題/領域番号 |
20K21356
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高田 健介 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40570073)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 免疫記憶 / T細胞 / 生体防御 |
研究開始時の研究の概要 |
再感染が起きなければ記憶Tリンパ球は徐々に減少する。このことは従来、生体防御に不都合なことと考えられてきた。しかし、定常状態で体内に維持できるTリンパ球数は限られるため、再感染リスクの低い病原体に対する記憶の低下は、免疫多様性を保持するための合理的な現象とも捉えられる。本研究は、感染から長期間を経た記憶Tリンパ球で特異的に発現される新規転写因子Dmrt4の機能解析を通じ、「再感染リスクに応じた免疫記憶維持」という新たな概念の提唱を目指す。本研究の成果はまた、Dmrt4を標的として、一度の接種により一生涯効果が持続する画期的なワクチン戦略の創出につながり得る。
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研究成果の概要 |
ワクチンの基本原理である免疫記憶の詳細な成立機構は未だ解明されていない。免疫記憶の本体は、抗原特異的な活性化の後、長期にわたり体内で維持される記憶リンパ球である。本研究では、免疫系での役割が解明されていない新規転写因子Dmrt4が CD8+記憶Tリンパ球に高いレベルで発現されるという独自の知見に基づいて、当該分子の記憶Tリンパ球における役割を検討した。記憶Tリンパ球の表現型や機能、遺伝子発現に与える影響について、実験結果の再現性を十分に確認する必要が残るものの、今後の発展につながる有望な予備的知見を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過去に感染した病原体の再感染に対し、免疫系はより素早く強力に応答する(免疫記憶)。免疫記憶の本体は抗原特異的な応答の後、体内で長期間維持される記憶リンパ球である。とりわけCD8+ 記憶Tリンパ球は、ウイルスや細菌、腫瘍細胞に対する防御に重要な役割を果たす。本研究から、免疫系での役割が不明な新規転写因子がCD8+ 記憶Tリンパ球の制御に関与する可能性が示唆された。現時点では予備的知見の域を出ないものの、今後検討を重ねることで、免疫記憶の基本原理の解明とともにワクチンや免疫療法の開発に貢献することが期待される。
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