研究課題/領域番号 |
20K21369
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10313975)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 畜産学 / 栄養生理学 / ニワトリ / ヒト / 抗体 / 受容体 / 生理学 / 免疫学 / 鳥類 |
研究開始時の研究の概要 |
ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)血中のホスホリパーゼA2酵素を速やかに除去するための受容体として哺乳類で最初に発見されました。我々は、鳥類ではPLA2Rのはたらきを抑制すると血液中の抗体濃度が著しく低下することを発見しました。よって、鳥類のPLA2Rと哺乳類のPLA2Rは全く異なる機能を持つことが推測されました。本研究では、鳥類のPLA2Rが血液を循環する抗体の寿命を延ばすはたらきを持つとの仮説を立て、これを証明します。また、哺乳類のPLA2Rが鳥類と同様の機能を持つのかについても調査します。
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研究成果の概要 |
鳥類と哺乳類でホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)の周知の生理機能が異なる。鳥類ではPLA2Rが抗体受容体として機能するが、哺乳類では受容体機能は知られていない。本研究では、PLA2Rによるトリ抗体(IgY)の輸送機能の実証と、ヒトPLA2Rが抗体受容体として機能するのかを調査した。ニワトリのPLA2Rを強制発現させた細胞培養系を確立して、トリのPLA2Rは抗体受容体であること、トリのPLA2RがIgYの細胞内輸送(トランスサイトーシス)を促進することを実証し、鳥類の血中抗体濃度の維持にPLA2Rが関与することを示した。一方、ヒトのPLA2Rは抗体受容体としての機能を持たないことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
鳥類と哺乳類のPLA2Rが全く異なる機能を持つことが判明した。鳥類のPLA2Rは主たる免疫グロブリンであるIgYを分解することなく細胞内を輸送する能力を持つことが判明し、PLA2Rが抗体寿命を延長させる本体であることを確信した。今後、免疫機能が増強された感染症に罹患しづらいニワトリ、抗体を大量に含む機能性卵の作出に応用が可能な成果である。 ヒトPLA2Rの生物学的存在意義は依然として不明である。しかし、ヒトPLA2Rが抗体受容体としての機能を持たないことが明確となったため、抗体受容体としての機能が腎疾患であるネフローゼ症候群の原因因子ではないことが判明した点は意義深い。
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