研究課題/領域番号 |
20K21374
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
枝重 圭祐 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (30175228)
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研究分担者 |
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 教授 (70295210)
松川 和嗣 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (00532160)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 凍結保存 / 魚類卵子 / 高浸透圧傷害 / カルボキシペプチダーゼ / ゼブラフィッシュ / 細胞質型カルボキシペプチダーゼ / 魚類未成熟卵子 / ネクロトーシス / 浸透圧傷害 / メダカ |
研究開始時の研究の概要 |
魚類の卵子/受精卵ではいまだに実用的な凍結保存法はない。成熟卵子と受精卵と比べて未成熟卵子では細胞膜透過性はかなり高く、凍結保存に必須の細胞の脱水と細胞内への凍害保護物質の浸透が容易で、凍結保存に適していると考えられる。しかしながら、凍結保存液のような高浸透圧の溶液に浸すと速やかに死滅してしまう。そこで本研究では、ゼブラフィッシュとメダカを用いて、未成熟卵子の高浸透圧傷害の分子メカニズムを明らかにし、その傷害を軽減することによって、世界で初めて魚類卵子の凍結保存に成功することをめざす。
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研究成果の概要 |
魚類卵子の凍結保存はいまだ成功していない。魚類の成熟卵子の細胞膜透過性は低いが未成熟卵子は細胞膜透過性が高いので、未成熟卵子の方が凍結保存しやすいと考えられる。しかし、未成熟卵子は高浸透圧に極めて弱い。そこで、ゼブラフィッシュ未成熟卵子を用いて、高浸透圧的傷害を回避する方法をしらべた。その結果、カルボキシペプチダーゼ阻害剤が傷害を大幅に軽減することがわかった。さらに、細胞質型カルボキシペプチダーゼ(CCP)のサブタイプうち、CCP5とCCP6の発現を抑制したところ、生存性が著しく向上した。したがって、CCP阻害により魚類未成熟卵子の高浸透圧的傷害を回避でき、凍結保存が可能になると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで魚類では主に胚の凍結保存の試みが行われている。しかし、魚類胚では細胞膜透過性が低く、凍結保存に必須の細胞の脱水・濃縮と耐凍剤の浸透等が十分できない。そのため、現在はレーザーを用いて一個一個超急速に融解する方法を用いて部分的な成功を収めているに過ぎない。一方、魚類卵子の凍結保存の試みはほとんど行われていない。今後、魚類の未成熟卵子の高浸透圧傷害を完全に克服できれば、大量に処理可能な実用的な魚類卵子の凍結保存の成功が期待できる。魚類精子の凍結保存は比較的容易なので、卵子の凍結保存に成功すれば、養殖魚の種苗生産や育種改良に大いに役立ち、水産業の発展に多大な貢献ができると考えられる。
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