研究課題/領域番号 |
20K21382
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八尾 寛 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (00144353)
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研究分担者 |
井上 圭一 東京大学, 物性研究所, 准教授 (90467001)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ミトコンドリア / エネルギー / オプトジェネティクス / 光遺伝学 / 外向きH+ポンプ / ロドプシン / ターゲティングシグナル / 蛍光タンパク質 / H+ ポンプ / 微生物型ロドプシン / エネルギー代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアにおいては、電子伝達系によりH+がマトリックスから膜間腔へ汲み上げられ、内膜を介したH+電気化学勾配が形成される。そして、内膜に存在するH+-ATP合成酵素が、H+濃度勾配を利用し、ADPをATPに変換する。H+ポンプロドプシンやH+選択的チャネルロドプシンをミトコンドリア内膜へターゲッティングすることにより、ミトコンドリアエネルギーダイナミクスを、光で自在に制御するシステムを開発する。本研究により、ミトコンドリアエネルギー代謝の新たな研究領域や食糧、地球温暖化などの問題の解決につながる科学技術が創発することが見込まれる。
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研究成果の概要 |
ミトコンドリア内膜トランスロカーゼ複合体結合タンパク質由来のTim29[1-89]を利用し、微生物由来のH+ポンプロドプシンをミトコンドリア内膜へターゲッティングすることにより、ミトコンドリアエネルギー代謝を光依存的に制御するシステムの開発に挑戦した。Tim29[1-89]のC末にH+プロトンポンプのArchT を配位したタンパク質の細胞内局在は、ミトコンドリアマーカーと一致しなかった。また、細胞膜に発現し、黄色光依存的にH+を細胞外へ輸送した。ミトコンドリアマトリックスにおいては、光依存的なpHの変動が認められなかった。Tim291-89以外のターゲティングシグナルの探索が今後の課題である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ミトコンドリアのエネルギー代謝によりもたらされるATPと熱産生は、生体機能にとり、普遍的かつ不可欠の要素である。また、ヒトにおいてミトコンドリアのエネルギー産生能の低下がミトコンドリア病の主要な原因だが、有効な治療法がない。本研究は、ミトコンドリアエネルギー代謝を光操作する技術の開発であり、その生理、病態生理の解明をそくしんするとともに、細胞内局所のライブイメージング技術などと組み合わせることにより、新しい科学の創出が展望される。本技術を微生物・家畜・農作物に応用することにより、食糧生産を効率化するとともに、生物由来のCO2排出量を削減し、地球温暖化を防止する科学技術の創発が見込まれる。
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